EnB 9号 目次
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■EYE
「環境問題」こそが危険だ 詳細へ

■INTERVIEW
プロジェクトマネジメント資格認定センター事務局長
石倉正幸氏
PMCC設立1年で急速にP2Mが普及

■REPORT
北東アジアの天然ガスと地政学詳細へ
パイプライン、地域の安定性、 および北朝鮮の核問題@

■FORUM
いい内部告発

■TOPICS
タング/サハリンUのLNGプロジェクトが前進詳細へ

荏原、廃棄物関連で特別損失計上

新エネ財団、水力発電の見直しを提言

日立造船、川崎でGE発電設備を稼働

国内発電プラント・新規計画詳細へ

■GLOBAL Business
市場の不安に悩む米国エンジニアリング業界
イラク復興プロジェクト詳細へ
Alstom、産業用タービン事業をSiemensに売却
Shaw Group、Badger Technologiesを買収
J.A.Jones、自力での事業再建・一括から分割売却へ
欧米企業、バイオ・医薬分野を推進
・Business News


■NEWS FLASH
THI、中国向けで受注相次ぐ
高田工業所、経営改善めざし産業再生法申請へ詳細へ
物産〜東芝〜IHI、石炭火力リハビリを受注
TEC、和光純薬の最新鋭工場を受注
IHI、LNG−BOGレシプロ圧縮機を連続受注
横河電機、Shellから計装更新PJを受注
三菱重工、サウジの砂漠緑化プロジェクトプラン作成
海洋開発産業協、高速海水浄化システムの実証開始
日立製作、都市開発ソリューションを展開
JBICの動き
B−ENG、スターリングコマースと業務提携
Project News詳細へ

■海外・国内主要プロジェクトの動向

■CONTRACT


■PROCUREMENT NEWS


■エンジニアリング・ダイジェスト


■EDITORIAL 詳細へ

EnB ○○号 表紙

 

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「環境問題」こそが危険だ
このところ立て続けに環境問題に関する本を読んでいる。その一つは東京大学生産生産技術研究所・渡辺正教授と、目白大学人間社会科学部・林俊郎教授による「ダイオキシン−神話の終焉」(日本評論社刊)である。いかにダイオキシンが日本社会で異常なまでに問題視されているかを、その毒性評価や健康リスク、発生メカニズムなどから明確に記している。これを読むと、旧厚生省があれほどの完璧なまでの対策を行ったことが、壮大なる税金の無駄使いであったということがひしひしと感じられる。
ダイオキシンが社会問題化していた当時、筆者もまた多くの記事を書いていた。ところが、この問題を大きくしたのがマスコミの煽りと、一部学者の恣意的な行動にあるという。マスコミの端くれとしては実に耳の痛い話だ。
過度に問題が大きくなったため、国内のごみ処理設備市場はダイオキシン対策で需要を先食いしてしまった。現在、ごみ処理プラントメーカーが需要の低迷に苦しんでいるのはダイオキシン問題の影響によるものでもあるのだ。
何でこういうことになってしまったのか。もちろん、知識の欠如という問題はあるにしろ、それ以前に日本人全般的に環境問題に対する評価、あるいは思考力が低いのではないかと思う。
例えば、天然成分よりも化学合成成分の方が危険だ、毒性があるものであればその製造および使用を禁止しなければならない、環境のためにはごみを燃やすよりもリサイクルする方がよいに決まっている−といった考え方が一般的だ。しかし、実際には天然成分のほうが危険な場合もあるし、薬や食品は基本的に毒物を含んでいる。リサイクルすればするほど環境負荷が高まるという指摘もある。
こうした誤解が生み出される背景には「環境問題」が全体を把握しにくいということがある。ちょっと考えても熱力学や化学工学、建築工学、地球物理学、気象学などの理系と、経済学、社会学など文系の学問が融合されてはじめて環境問題を評価できる。この状況で「環境問題」を気安く語るのは危険なのである。
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北東アジアの天然ガスと地政学
パイプライン、地域の安定性、および北朝鮮の核問題@
著者:Sleig S. Harrison・ワシントンポスト誌
約編者:越後屋 佐助・エネルギージャーナリスト
筆者のSleig S. Harriosnは、ワシントン・ポスト誌の前北東アジア担当主筆で、現在はWoodrow Wilson Centerの北東アジアの石油・天然ガス協力に関するプロジェクト・ディレクター。またKorean Endgame(プリンストン大学出版)の著者でもある。本稿は、著者が1年間をかけてロシア、中国、日本、そして2つの朝鮮を訪問し、自ら見聞した最新情勢をまとめたものを約編者が修正・加筆したものである。
北東アジアのエネルギー市場の歴史
東アジアのエネルギー市場の膨大なポテンシャルについては、米国・国務長官のJohn Hayが門戸開放政策を宣言した1900年から米国では先入観として残っている。1930年代初期の米国ベストセラー作家のAlice Tidale Hobartの人気小説“中国のランプと石油”は、その時代の話題にさえなった。中国のStandard石油の幹部夫人として自身の経験を取り上げたHobartは、その小説で企業と中国の孔子文化の衝突をドラマに変え、それが非常に人の心をつかんだ。結果的に、その小説は2つのハリウッド映画を生み、大部分が極東について書かれた他の殆どの小説、旅行記、あるいは回顧録フアンを勝ち取っている。
その70年後の現在、アジアの現実のドラマは、財界誌の愛読者にさえ知られていない、天然ガスと地政学を中心に展開してきた。この時期、米国ではなくロシアが、その主導的な役割に置かれている。主要な天然ガスと石油の輸出国としてのロシアの出現とともに、中国、日本、および2つの朝鮮は、近隣ロシアのシベリアやサハリンの石油資源に注目してきた。
急激に増大するエネルギー需要と歩調を合わせることを別にしても、これらの国々は遥か遠方のアラブの石油生産国への依存を低減したいと切望している。また彼等は、戦争や革命による供給中断への危険分散ばかりでなく、潜在的に危険なシーレーンを通るタンカー保護のために米国海軍へ過度な依存を増大させたくないと望んでいる。環境上の理由から、彼等のエネルギー・ミックスへのロシアの天然ガスの参入は、石炭や石油の使用から生じる厄介な汚染レベルを削減する方法としては特に魅力的である。
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タング/サハリンIIのLNGプロジェクトが前進
 長らく停滞していたインドネシア・タング、そしてサハリンUの両LNGプロジェクトが動き出している。このほどタングプロジェクトのオペレータであるBPは、KBR〜日揮〜Pertafenikkiの3社コンソーシアム(KJP)のプロポーザルを採用することを決定。最終交渉に入っている。一方、Shellなどが進めているサハリンULNGプロジェクトもこれに先立って東京ガスおよび東京電力、中部電力がサハリンUからのLNG調達を実施することを決定。千代田化工建設〜東洋エンジニアリング(TEC)のコンソーシアムがEPCコントラクターとして内定、既に設計作業に入っているという。
タングPJで日揮受注へ
タングLNGプロジェクトは、BPをはじめ英BG、三菱商事・国際石油開発・新日石・石油公団・兼松・海外石油開発・エルエヌジージャパン(日商岩井/住友商事)、中国CNNOCが開発に参画している。供給先は日本とBG・CNNOCが見込まれている。オペレータはBP Indonesia。
Tangguhガス田は天然ガス確認埋蔵量14.4tcf。プラントはパプア州Teluk Bintuni区のBerau-Bintuni湾地区にLNGプラントと建設するもので、LNG生産能力は350万t/y×2系列計700万t/y。2007年の操業開始を予定している。
このLNGプロジェクトの商談の始まりは、99年7月のFEED入札。それまでの入札と異なり、APCI法、PRICO法、Philips法の3つのプロセスでFEEDが争われた。その結果、2000年春にAPCI法で千代田化工建設が、Philips法でベクテルがFEEDを受注した。その後Philips法ではPT Purna Bina Indonesia〜PT Bechtel Indonesia〜Bechtel Overseasが、またAPCI法では@仏Technip France〜Technip Far East〜PT Technip Indonesia〜千代田化工建設、AKBR〜日揮〜Pertafenikkiの計3グループがEPCプロポーザルを提出。当初はFEEDを手掛けた企業がそのまま受注するのでは、と見られていたが、結果的にはFEEDを手掛けていない日揮グループがEPCの受注を確実にした。同グループの応札価格は約14億ドルとBP側は発表している。
サハリンUは夏にも工事開始
一方のサハリンUプロジェクトは、米マラソン、英蘭系シェル、三菱商事、三井物産によるサハリン・エナジー社が事業主体となっている。
既に、原油生産は99年から開始されており、2000年には年間160万トンの軽質油を韓国や中国に輸出している。 LNGについては、Shellが開発したShell法をベースに計画が進められており、2001年夏にITBが出された。ITBの対象となったのはKBR〜日揮〜Bouygue、千代田化工建設〜TEC〜Nipigaspererabotka、Technip〜FosterWheelerの3グループ。
LNGプラントはコルサコフ近郊のプリゴロドノエに建設されるもので、生産能力は480万t/y×2系列と世界最大のLNGプラントとなる。FEEDに関しては千代田化工建設が実施。そのまま同グループの受注が内定していた模様だ。大型プラントでは世界で始めて採用されるShell法のLNGプラントを成功させることが優先され、より同プロセスに通じていた千代田グループがEPCをそのまま受注することとなったようだ。
しかしその後、LNGの供給先の確保が出来なかったため、商談は停滞する。それが今年に入ってから調達先が決まってきた。まず東京ガスが、プラントの運転が開始される2007年度に6万5,000t/yの購入を開始、2014年度には100万t/yに拡大することを決めた。その後中部電力が原発停止時の代替燃料として10〜20万トンの購入を決め、大阪ガスは豪州との購入契約が切れる2009年度から80万t/yの購入を決定。3月末には最大顧客である東京電力が2007年度から100万t/y超の規模でサハリンUからのLNG購入を決めた。日本で相次ぎ供給先が決まったことで、プロジェクトが前進。今年夏にも現地シビル工事や、鉱区からサイトまでの全長約600kmのパイプライン敷設工事が始まる。
タングとサハリンUはいずれも2007年に運転を開始する。世界最大のLNG市場である日本をメインターゲットとしたライバル的なプロジェクトだ。今回、BPが正式契約前にEPCコントラクターの選定を発表したのには、サハリンUにくらべ日本の供給先の確保の遅れを挽回するという目的もあると見られる。東京電力は2009年に豪州およびアラスカからのLNG契約(220万t/y)が更新期を迎える。大阪ガスも2011年までに260万t/yが契約更新となる。これらを巡って両プロジェクトの争いが激しくなりそうだ。
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国内発電プラント・新規計画
3,600万kWの電源が順次着工へ
国内電力10社の2003年度設備投資額は合計2兆2,716億円。前年度に対して1,740億円減少した。このうち発電設備への投資額は5,062億円で、1,187億円の減少となっている。
今年度以降に着工される予定の発電設備は総出力で約3,600万kW。建設中の電源やIPPを含めると、5,980万kWとなる。これにより、2012年度末には総出力2億6,892万kWの設備容量となる見込みだ。2002年度末での設備容量は2億3,347万kWであり、今後10年間で15%程度増加することになる。
このうち原子力発電は昨年度の計画では2010年までに13基が運転開始する予定であったが、東京電力・東通1〜2号、日本原子力発電の敦賀3〜4号機が遅れるため、今年度の計画では9基計1,109万kWとなった。ただ、遅れは1年程度であるため2012年度末までには予定通り、16基計2,052万kWが運転を開始する計画。ただ、原子力への信頼が低下しているなかで、さらに遅れていく可能性もある。
火力発電は2012年までに1,973万kWが運転を開始する予定だ。このうち石炭火力が984万kW、LNGが798万kW、石油等191万kWとなっている。揚水発電所は274万kW。
今年着工予定の主な発電設備は北海道電力・泊原子力3号機(91.2万kW)、および新中別水力(1万kW)。東京電力・五井ガス圧力差1号(0.77万kW)、中国電力・新帝釈川水力(1.1万kW)、上越共同火力1〜3号(397万kW)。
将来の開発計画では、沖縄電力が同社初のLNG火力である吉の浦火力(24万kW×2基)の建設を2006年度に着手、東北電力が2018年度以降着手予定で能代3号(60万kW)が注目される。また、電力会社間の連係強化のため、東清水周波数変換設備(30万kW)が2004年に運用開始される予定だ。
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イラク復興プロジェクト
 ブッシュ大統領は復興人道支援室(ORHA)の上に文民行政官として、元外交官Bremerを任命した。米国はイラク暫定政権を来月中に発足させる方針という。また石油省の体制が発足した。首席執行官には元イラク石油省幹部(企画・研究担当)のGhadhbanを任命、諮問委員会のトップに米国人Carrol、元イラク石油省幹部(輸出機構のトップ)のOthmanもここに加わった。石油復興プロジェクトについはイラク石油省が主導する意向を示している。
BremerがORHAのトップGarner退役将軍の上に任命されたことは国務省の巻き返しと言われるが、氏はテロ対策に実績をあげた人物で、思想的には保守派という。
実際に石油体制の運営が始まって緊急の諸問題が生じている。緊急の家庭用燃料(プロパン)やガソリンの欠乏対策(とりあえず、周辺国から輸入する!!)、米軍の被爆により電力システムが破壊され発電所が未稼働で重油のタンクが不足などなどである。Ghadbanはイラク内の石油各社、また復興プロジェクトを担当するKBRとも会談したという。KBRのプロジェクトにつづく石油復興プロジェクトは各社が狙っており、このプロジェクトに対してFluorとAmecがJV(F51%、A49%)を組んだことが発表された。
Bechtelの受注したインフラ復興プロジェクトは国際的にサブコントラクター応募の登録を開始しており、すでに2つのサブコン契約を結んだ。USAIDの8つのイラン復興契約のうち既報した5つ以外の3つ(Theater Logistical Support、Airport Administration、Piblic Health)も契約が決定した。またイラクの通信復興プロジェクトは議会に承認された復興人道援助パッケージ25億ドルに含まれていたが、米政府は発注を延期することとした。再建方式を新イラク政府にまかせたいという。携帯電話方式を巡っての欧米各社の政治的紛議のあるプロジェクトだ。
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高田工業所、経営改善めざし産業再生法申請へ
 2002年度の業績が連結で79億円の純損失など大幅に悪化する。前年度につづく赤字で、新たに中期経営改善計画を策定し、早期の経営改善をめざすこととなった。
中期経営改善計画は2003年4月1日〜2008年3月31日の5年間。計画の概要は以下のとおり。(1)経営体制の刷新 @役員数削減執行役員制度導入A地域事業本部制採用・組織のスリム化(2)収益性の改善 @収益性の高いメンテナンス事業の拡大(2002年度38%→2007年度52%)Aコスト削減 (3)不良資産の処分 @有利子負債の削減(5年間で147億円)A販売用不動産の処分(大分不動産事業一括売却)Bその他資産売却 (4)産業活力再生特別措置法(産業再生法)の適用申請 (5)財務体質改善 福岡銀行が債務株式化(DES)50億円を実施 (6)経営責任の明確化・既存株主への負担要請 @会長の退任・役員退職慰労金の不支給A50%減資・株式併合。
経営悪化の要因は@本業における収益の悪化−設備投資抑制・競争激化などの受注環境のもと、メンテナンス事業が伸び悩み、工事量確保のため利益率の低い建設工事を受注し、受注量の大幅下落・利益率低下により収益を悪化させた。A不動産事業における損失−96年度に着手した大分市の不動産事業の失敗がストック・フロー両面で経営を圧迫したという。2000年度からスタートした中期経営計画による「基礎素材産業のメンテナンス分野の拡大」「半導体を中心としたハイテク分野の拡大」などを主戦略とした事業展開が、期待していた半導体分野の失速をはじめとする設備投資の落ち込みにより逆効果となったといえよう。
経営改善計画は自助努力・DESによる銀行の支援とともに、産業再生法適用に期待している。再生法のうち、事業再構築計画(自力再生)適用をめざしており、その内容は @事業再構築による事業強化→建設工事主体からメンテナンス工事主体への事業転換A事業革新による事業の強化→メンテナンスサービス事業の新規展開だ。
メンテナンス事業拡大のためには地域事業部制導入などの機構改革とともに、メンテナンスサービスセンターを設置、設備診断・メンテナンス計画立案などのコンサルティング業務を梃子として「提案型メンテナンス」を推進するという。メンテナンス事業規模は現状の年商150億円から2005年度には170億円、化学・鉄鋼などの既存顧客の深耕を図るという。
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Project News
Peni-Chandra Asriの合併、再燃か
台湾FPG、エチレン計画は台湾で実行へ
中国・汕頭市でエチレンコンプレックス計画
アブダビ・ガスPJでEPC入札
サウジで水素化精製設備商談
Ruwais製油所の硫黄回収設備で入札
日本酢酸エチル、大分に新工場
北ガス、LNG受入設備を新設
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編集後記

○…TBS系列のテレビ番組に「世界ウルルン滞在記」というのがある。世界の秘境の村や世界の職人などのもとに、日本のタレントが1週間ほど滞在するというドキュメンタリを題材にして構成した番組だ。秘境の村でネーティブで伝統的な慣習のもとで暮すというストーリーで、数年前までは今でもこうした風俗はあるのか、やらせではないのかと疑いながら見ていたものだ。
ところが最近は様相がかわってきた。アマゾンの奥地でも太平洋の島々でもタイの山岳民族でも、普段はすでに伝統的風俗は失われてしまい、伝統を守ろうとするリーダーや長老が伝統を守るあるいは懐かしむために日本のタレントを受け入れ、伝統的生活を再現するというものになっている。アルプスの農業でもそこにいる若者は地元の人々ではなく、環境運動家であった。
もはや、秘境は失われ、建前を取り繕うことさえできなくなっている。秘境の村といえどもTシャツを着る。現金収入は不可欠であり、優勢な言語による教育が普及せざるを得ない。若者は都市に出て行く。物質文明は全世界を覆いはじめた。全世界の人類が先進国同様の生活をめざしている。だがそれが物質的に可能か、 経済的不平等を解決できるのか、人類はパンドラの箱をあけてしまったのではなかろうか。


○…何時のことか記憶は定かではないが、株価が1万5000円〜1万6000円のころだったと思う。2万円近くあった日経平均株価がじりじりと値を下げている頃だ。新聞紙上で一線のエコノミストたちが、「日本経済の実力」にあった株価をアンケート形式で答えていた。彼らは「1万4000円を割ると殆どの銀行が持ちこたえられない」、「1万2000円台で持ちこたえられる銀行は1行だけ」と考えていた。株価予想では、「1万3000円〜1万4000円で底をうつ」、というのがほとんど。そのなかで、誰だか忘れたが1人だけ「日本経済の実力にあった株価は7000円〜8000円」と答えていた人がいた。その時、まさか1万円を割り込むはずが無い、そんな事態になれば日本経済は破綻するだろう、という感慨を持ったのを覚えている。現状は、不幸にしてそのまさか(私にとって)の予想が的中してしまった。
「世の中何が起こるかわからない」という経験をこれまで何度かしてきたが、現状の株価もその一つだ。しかし、現状で日本経済は何とか持ちこたえている。時代の経済環境にあわせた企業人のいろいろな努力・改革が持ちこたえさせているのだろう。政治家、官僚の努力・改革によってではないのは確かではなかろうか。

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