EnB 8号 目次
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■EYE
回復しないスティグマ 詳細へ
■REPORT
動き出すマルチユーティリティ産業詳細へ

世界の原子力発電、過去最高のレベルに

■TOPICS
P2M普及へ向けた活動が活発化詳細へ

産業用オープンネットワークラボが開設

課題残す新電気事業制度

ガス化溶融炉、相次ぎ稼働開始


■GLOBAL Business
イラクインフラプロジェクトはBechtelが受注詳細へ
ABBのエンジニアリング事業、近々売却先決定か
Alstom産業ガスタービン事業、Siemensが買収か
Bonbardier、大型事業再編を進める
Amey、スペインのFerrovialが買収提案
mg Technologiesのトップ、株主との抗争に敗れ退陣
Vivendi Environment(VE)、社名を変更
Breif News


■NEWS FLASH
UMM AL NAR造水発電PJで日本勢受注詳細へ
三井造船、Sasol向けで初実績
IHI、銅箔圧延設備を受注
三菱重工、マレーシアGPP-1近代化工事受注
東芝、オリックスと発電企画会社
富士電機、岩谷産業と風力発電で提携
三菱電機と東芝、製造業向け電機設備を統合
コスモエンジ、エコステーションで実績
日立産機、中国に産業用インバータ拠点
JBICの動き
チノー、燃料電池実証試験設備を完成
B−ENG、製薬向け生産・販管システムの提供開始
電発、ダイヤモンドパワーに電力供給
Project News詳細へ


■海外・国内主要プロジェクトの動向

■データ・ファイル


■PROCUREMENT NEWS


■エンジニアリング・ダイジェスト


■EDITORIAL 詳細へ

EnB ○○号 表紙

 

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回復しないスティグマ
 今年3月、日本でも土壌汚染対策法が施行され、土壌汚染の全国的な状況の把握がまず進められることになったが、下手をすれば土地の流動化がより沈滞するのではないか、という危惧を持った。そんななかで先日、米国のブランフィールド開発の成功事例に関する話を聴く機会を得た。
話によると、土壌汚染対策法として世界の同様の法律の雛型となった米スーパーファンド法では当初、汚染者負担原則(PPP)が厳格すぎたことや、浄化基準が曖昧であったため開発リスクが高くなり土地が動かず開発が進まない事態となった。その結果、特に工業都市では逆にブラウンフィールドが増加してしまった。そこで同法が改正され、州レベルでの自主的修復制度(Voluntary Cleanup Program:VCP)が盛り込まれた。VCPでは、リスクベース浄化基準概念を設定し、州はもとの土地所有者から汚染責任を解放・保護する免責証明書を発行するとともに、調査や浄化への補助金・低利融資を行うというもの。これによりブラウンフィールドでも開発リスクが明確化し、開発が進むようになったという。
成功事例の中で特に興味深かったのが、バージニア州のプロジェクト。ここで開発のための資金調達手法として採用されたのがTIF(Tax Increment Finance)だ。汚染による土地の資産価値の目減り(Stigma)で安く土地を買うが、開発後には価値が上昇する(Stigmaが減少)。その分資産税が増加するがその増加分を担保とした債権を州が発行し、その資金でその地域の開発を進めるというものだ。 ここまで聞いて憂鬱になった。日本ではTIFのような手法は国が許可しない。対策法も初期のスーパーファンド法ほどではないにしろPPP原則が厳しく、開発リスクは高い。浄化後でも汚染のあった土地には住みたくないというアンケート結果もあるという。日本ではスティグマは浄化されても回復しないということになる。日本は汚染に対してゼロを求める傾向が強いが、リスクベースの評価で価値が回復しなければ、結局のところ汚染は残されたままになってしまう。
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動き出すマルチユーティリティ事業
 電力、ガス、水、廃棄物処理。それぞれ分割されていたサービスを統合し、一体的にサービスを提供する「マルチユーティリティ事業」創出の動きが出てきた。「マルチユーティリティ研究会」が5月に発足するが、既に地方自治体など工業団地での適用で検討を開始、海外でもFSに向けて準備を進めている。
2005年以降、事業化を目指す
「日本のビベンディをつくる」(エコ&エナジー代表 朝倉堅五氏)―。
「マルチユーティリティ研究会」は、東京大学名誉教授・平田賢氏をはじめ、出光興産や日本工営など6社が発起人となって設立する。その資料によるとマルチユーティリティ事業とは電気、ガス、冷温熱、上下水道、廃棄物処理、通信などのユーティリティサービスを複合化して、それらを供給するとともに、施設の運営や顧客サービスを一体化して提供するものとしている。
これにより各サービスで重複している経費分を削減できるほか、エネルギーの効率的な活用が可能となるなど社会費用の削減につながる。また料金徴収費用の低減など運営コストを削減し、ユーザーの負担を軽減できるほか、ユーザーのエネルギー利用状況を管理することで、各ユーザーにベストなユーティリティ供給を実現することで、ユーティリティ費用の削減ができる。加えて各サービス毎の手続きや支払が一本化されるほか、メンテナンスサービス提供も一本化することでユーザー側の煩雑さが解消されることになる。
もちろん、エネルギー利用の効率化や、再生可能エネルギーの活用なども考えられるため温暖化対策としての意味も大きい。
このようなビジネスモデルの構想が生まれてきた背景の一つには技術の進展がある。エネルギー分野ではマイクロガスタービンや燃料電池など分散型電源技術が実用化に近づいてきている。これにより、従来の大規模集中型のエネルギー供給システムも大きな変革を求められつつある。
また、過去5年間で電力やガス熱供給の分野で規制緩和、自由化が進展してきている。また現在は水道事業でも民間委託の方針が打ち出されている。このため、従来のエネルギー産業の枠組みに捉われない、新たなサービス産業が出現する環境が整いつつある。
さらに温暖化対策への意識の高まりに伴う水素エネルギーへの期待や、日本における幹線パイプライン構想の進展なども、マルチユーティリティ産業の実現可能性を高めている。
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P2M普及へ向けた活動が活発化
第2回PMS試験実施、大学での講義も開始へ
プロジェクトマネジメント資格認定センター(PMCC)は3月に第二回目のPMS(プロジェクトマネジメントスペシャリスト)レベルの資格試験を実施したが、このほど合格者254名を発表した。第1回目とあわせたPMS資格の取得者は506名となった。

今年末にもPMR試験
PMCCは昨年4月に設立されたもので、日本発のプロジェクトマネジメント知識体系「プロジェクト&プログラムマネジメント(P2M)」に基づく資格試験を行うとともに、P2Mの知識体系の啓蒙普及活動を進めている。
3段階あるP2M資格の第一段階であるPMSレベル資格試験は昨年8月に第1回目が実施されており、今年3月に第二回目が実施された。
今回は609名が受験しており、うち254名が合格。合格率は全体で41.7%。内訳は専業エンジニアリングが14名、ソフトエンジニアリング系が58名、サービス業31名、建設業44名、製造業32名、電気・通信42名、機械工業7名、学生2名、金融および官公庁各1名、その他22名。
次回は、8月に試験を実施する予定であり、5月中に第3回講習会を開催する。また、今年末にも上位資格であるPMRの第一回試験を実施、さらに2004年度には最上位資格であるPMA試験を実施する予定だ。

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イラクインフラ復興プロジェクトはBechtelが受注
 米国国際開発庁(USAID)のインフラ復興プロジェクトはBechtelが受注した。イラク復興プロジェクトが米国企業に限定され、あるいは入札受注において競争不在や政権との関連の疑いが問題となっている。とくに陸軍工兵隊の油田消火・緊急復興プロジェクトのKBR受注が問題とされ、受注規模が縮小した。
米国はイラクの復興資金を石油収入から得ることを目的に実質的なイラク石油の運営・管理をめざしている。

USAIDプロジェクト
受注したのはBechtel Nationalで、緊急のインフラ改修とイラクの戦災復興を3460億ドルを受注、さらに予算が承認されれば総計6.8億ドルになる。緊急再建に加えて、発電施設・送配電網・上下水道施設の評価と改修、空港の改修、Umm Qasr港の浚渫・改修・改造などだ。サブコントラクトは海外からの批判を考慮したUSAIDとの契約で世界に対してオープン入札となっており、アラブ諸国など世界各国企業の参加が期待されている。
このプロジェクトは保険の対象外であることから、Bechtelは化学兵器・陸上海中の鉱山・不発弾に起因する損害に対する訴訟から免責という特権を得た。大統領の決裁によるもので、契約確定の遅れた理由のひとつだ。
USAIDはさらに2つの契約を行った。これで予定の8つの契約のうち5つの契約を完了した。2つの契約は@RTI International(Research Triangle Instituteの傘下)の地方政府支援プロジェクト790万ドルで初のNPOグループの受注ACreative Associatesの教育施設支援プロジェクト200万ドル。受注企業はいずれもUSAIDに実績のある企業。@は容易なプロジェクトではないと見られている。
USAIDが早急な契約を目指したことによるオープン入札でなく入札対象企業が特定企業になったことへの批判やインフラプロジェクト対象企業の政治的関係疑惑がおきており、Bechtelのケースも議会で訊問されるという。

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UMM AL NAR造水発電PJで日本勢受注
 UAEアブダビ水電力公社(ADWA)が国際入札を行っていたUMM AL NAR造水発電プロジェクトで日本勢の受注が決まった。東京電力〜三井物産〜英Interntional Powerが事業権を獲得し、造水プラントの建設を日立造船、発電プラントの建設を東芝が正式に受注した。
同プロジェクトは独立系造水発電(IWPP)として計画していたもの。事業権入札は2001年11月に実施され、東京電力グループのほか仏Total、ベルギー・Tractebelが参加。東電グループが優先交渉権を得て今年初めから最終交渉をすすめていた。
計画では、アブダビ近郊のUMM AL NARで運転中の出力85万kWの火力発電設備と75万t/dの造水プラントを買い取るとともに、新たに155万kWの火力発電と11万t/dの造水プラントを建設する。発電設備では、ACC(改良型コンバインドサイクル)発電方式を採用、GEのガスタービンを使って東芝が建設を担当する。燃料の天然ガスはアブダビ石油会社(ADNOC)から供給を受ける。造水プラントは多段フラッシュ法で日立造船が建設を担当。三井物産が一括請負契約でプラント建設を受注し、両プラントの技術的とりまとめを行う。完成は2006年6月の予定。電力と水は全量、アブダビ水電力会社(ADWC)に供給する。
プロジェクトの総事業費は2,500億円であり、中東の造水発電プロジェクトで日本の電力会社と商社が参画するはじめてのプロジェクトとなる。
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Project News
インドネシアTubanへの借款の契約、さらに延期
中国PPプラント、Technimontが受注
大連石化、新原油処理プラントを計画
カタールのLDPE、9月に入札へ
バーレーン・LPGリバンプでFEED入札
UAE造水・発電PJで近く発注
日本LPG備蓄、波方基地で工事発注
神奈川・寒川浄水場PFI、6月に受付
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編集後記

○…イラクで国立博物館などでの文化遺産が略奪された。古代メソポタミア文明やイスラム文明などの文化財のほとんどが略奪ないし破壊された。国立博物館から5000年以上昔の文化遺産5万点以上が盗まれたという。イラク人博物館職員の7000年の宝の喪失を嘆く姿がいたましい。プロの窃盗犯の仕業とUNESCOも見ている。
この略奪問題に対し、米国大統領文化財諮問委員会のサリバン委員長以下3名が辞表を提出した。サリバン委員長によると、米国が対策をとらなかったことを批判、戦争開始以前に専門家が国務省にイラクの博物館や遺跡の所在地を知らせていたことを指摘、大統領の道義的責任を問うている。
バグダッド陥落において米軍は積極的に官公庁などの略奪をあおったようだ。略奪についてコメントしたラムズフェルド国防長官の「略奪も民主化の一歩」という発言が象徴している。米軍兵士や従軍記者まで略奪に加わったことが明らかになっている。文化財略奪はこうした状況を利用した組織的犯罪のようだ。背後や買手に米国を含めた世界の富豪がいるのかもしれない。FBIがすでに富豪に情報提供を求めている。
第2次大戦で京都を爆撃しなかった米国は様変わりした。石油施設を保護しながら、世界遺産を略奪・破壊にまかせた米国の人類史上における罪は深い。

○…東京近郊市に居住している。4月13日は県議選、4月27日は市長選、市議選の投票である。普段は全く顔を会わせることのない候補者が、駅頭に立ち、我々に深々と頭を下げる。一方、都内でも知事選に続き、27日に区議選の投票が行われるため連日、候補者がスピーカーのボリュームを上げて走り回っている。候補者からの政策の語りかけもなく、ただ「お願い」するばかりである。走り回る車から政策を訴えかけるのは困難であろう。本当に候補者の政策と、なぜ立候補したのかなどを知りたければ「演説会」に顔を出すほかはない。しかし、支援者は別として演説会に顔を出す人はまれではなかろうか。地方選挙では、自分を例にとると[地縁、血縁」で頼まれたから仕方なくという投票行動になる。周りを見回してみると同じような人が少なくない。
あらゆる意味で、変革が求められているとすると、まず政治が変わらなければ、日本は変わらないであろう。まず身近な地方選挙の投票行動のパターンを変えない限り、変革は起こりえない。しかし、今の選挙手法では若者の「選挙離れ」は避けられないような気がする。期待できるとすると、将来必ず実現するであろうインターネット利用の電子投票システムだ。

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