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ドラスティックに進む天然ガス時代への対応を急げ



 世界中で天然ガスを巡る動きが活発化している。しかし、こうした天然ガス時代への対応に、日本は遅れをとりつつある。
 イルクーツクの大規模ガス田から中国へ向かう天然ガスパイプライン構想で、先ごろ韓国がパイプラインの事業化調査に参加することを決めた。これは、韓国がロシアからパイプライン・ガスを購入する意思があることを示しており、そうなればパイプラインは韓国まで到達するということになる。この構想に当初から日本も関わってきたが、どうやら中国・ロシア・韓国の3国は事業主体への日本の参加を諦めたようだ。日本の参加を待っていたら、いつまでたっても構想は実現しないからだ。
 天然ガスの市場としての日本は、世界最大のLNGバイヤーである。ところが、様々なLNGプロジェクトの推進力となっていた日本も、インドや中国、そして米国までもがLNGバイヤーとなってきている状況で、世界のLNG市場での影響力も影が薄くなっている。
 また、日本では天然ガスをLNGという一つの形で輸入し、燃料という単一の目的のみに使用している。しかし、天然ガスを原料として捉える技術開発が世界で進んでいる。石油製品を製造するGas to Liquid(GTL)はその一つであり、オイルメジャーがこぞって開発競争を進め、既に具体的なプロジェクトが次々に動き出そうとしている。日本でも石油公団がGTL技術の開発に乗り出しているものの、天然ガスの利用形態の拡大に向けた技術開発の面でも出遅れていることは間違いない。
 米国ダラスで行われた石油エンジニアの大会で、ヒューストン大学の教授が「2020年にはエネルギー資源の45〜50%を天然ガスが占めるようになる」とこれまでの予想以上に天然ガス利用がドラスティックに進むという見通しを示した。さらに、2005年には燃料電池・電気自動車も現実化し、水素時代の幕開けとなるという。
 エネルギーの主役交代劇が始まろうとしているなか、日本は今後もLNGへの依存を続けることになる。しかしLNG一辺倒では、本格化する天然ガス時代に乗り遅れることになる。一刻も早く新たなエネルギー戦略を国、エネルギー産業が描かねばならない。世界のオイルメジャーは天然ガス利権を一手に掌握するつもりなのだ。