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フルアー〜千代田、サハリンUでLNGのFEEDを受注
総額約10億円規模、ShellのDMRプロセスを初めて採用



 フルアー・ダニエル〜千代田化工建設〜現地ニピガスの3社は、サハリンで計画されているLNGプラントのFEED業務およびロシア政府の許認可申請書類作成作業を受注した。サハリン・エネルギー投資会社のテクニカル・アドバイザーであるShell Grobal Solutionから受注したもので、基本設計は来年8月までに終了させる。受注額はおよそ10億円にのぼる。
 同プロジェクトは、ロシアで初めて建設されるLNGプラントであり、Shellが開発したLNGプロセスであるDMRプロセスを世界で初めて採用することで注目されている。Shell、三菱商事、三井物産などが出資しているサハリン・エネルギー投資会社が数千億円をかけて年産900万トンの超大型LNGプラントおよび生産施設、出荷施設などの設備を建設する計画だ。
 サハリンUプロジェクトにおける天然ガス埋蔵量は、およそ4,000億m3と見られており、LNGの生産開始は2005年を予定している。サハリンでは現在、8つの区域に分けて油・天然ガスの開発を進めているが、サハリンUは最も先行しているプロジェクトの一つ。一方、サハリンTおよびサハリンVも進んでいるが、こちらは天然ガスをパイプラインで輸送する計画。しかもEXXONとMobilの合併によって、サハリンTとVの双方にExxon−Mobileが出資することになっており、両プロジェクトが共通でインフラを構築する可能性も指摘されている。さらに、サハリンから日本への天然ガスパイプラインプロジェクトに関するFSが昨年度から進められており、来年度にも終了する予定だ。そうしたなかで、サハリンUが単独で大規模なLNGプラントの建設を決定した。サハリン・エネルギー投資会社では、LNGの輸出先に日本国内を含めて検討している。輸送パイプラインが存在していない現在では、国内の既設LNG基地を使ったLNG輸送が最も短期的に投資資金を回収できる。将来的にパイプラインが実現するとLNGプラントの償却が長期化する可能性もあるが、最近の状況からみてサハリンからの輸送パイプラインは日本よりも中国向けのラインが先に実現、日本向けパイプライン建設の実現性がやや遠のいていると判断し、LNGプラントの建設に踏み切ったものと考えられる。
 一方プロセスの面では、これまでエアプロダクツ&ケミカルズが開発したAPCI法がLNGプロセスの主流となっており、その他にはフィリップスが開発したカスケード法によるプラントがアラスカおよびトニダード&トバゴで稼動している。これらに加え、サハリンでDMR(Double Multi Refrigerant)プロセスが実用化されることで、世界のLNGプロジェクトのうちShellが出資するプロジェクトでは基本的にDMRプロセスになると見られるなど、プロセス間の競合が本格化することが予想される。事実、インドネシアのタングLNGやカタールのラス・ラファンLNG増設計画などでもEPCの前にプロセスの決定のためのFEEDが実施されている。LNG商談は、二つのプロセスを経て決定されることになりつつある。