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系列を超えた再編が必要な専業中堅



 専業中堅エンジニアリング業界の再編の動きがめだっている。10月1日付けで、三興製作所と新潟工事が合併した新興プランテック、また太平洋セメント(98年に成立)のグループ再編に伴い太平洋エンジニアリングが発足した。また、ジャパンエナジーは甲陽建設・日鉱エンジニアリングなどエンジニアリング関連事業を統合して、来年4月に新会社の発足を予定している。
 専業中堅エンジニアリング企業なかでもユーザー系企業はその多くが化学・石油などの親会社の設備投資・メンテナンスといった安定した事業基盤をもったグループ内企業である。連結ベースでいえば、独立企業とはいえない企業であり、太平洋エンジニアリングのような親会社の合併に伴う再編が主であった。ジャパンエナジーグループのエンジニアリング事業再編は石油業界の事業再編と連動した動きである。新興プランテックは日石三菱系の新潟工事が東燃のメンテナンスを主事業とする三興製作所を統合するもので、系列を超えた事業展開だ。
 ユーザー系企業の多くはグループに対してエンジニアリング・メンテナンスを安価に提供し、技術力をベースに外販し、収益力をあげることが課題となっている。なかでも保全事業はユーザー系企業の特徴分野であり、外販メンテナンス事業は有望事業分野だ。しかし、現在のグループごとにメンテナンスを担当する体制では外販市場は限られる。
 欧米に目をむけると、クライアントとエンジニアリング企業とのアライアンスの進展が著しい。クライアント企業のエンジニアリングセンターが消滅し、エンジニアリング・メンテナンスがエンジニアリング企業にアウトソーシングされているのだ。エンジニアリング企業の新たなビジネスモデルとして各社が注力している。
 このような欧米企業の動向をみても、わが国のグループごとにエンジニアリング企業を抱える体制には疑問が生ずる。国内のエンジニアリング事業の復活拡大のステップとして、エンジニアリング事業メンテナンス事業をユーザー企業から真に独立させ、グループを超えた再編が必要なのだ。