日揮は、次世代の天然ガス利用法として注目されるGTL(Gas to Liquids)の大型商業プラントの基本設計業務をシェルグループから受注した。米ケロッグブラウン&ルート(KBR)との共同受注。受注金額は契約形態がレインバース契約(実費償還方式)のため未定としているが、5千万ドル以上になる。建設場所は現在、特定されていないが2基分の基本設計役務を2002年末までに終える。
同社は2003年に予定されているEPC商談でも、「経験から言って我々が最も先行している」と強い自信を見せる。実現すると1基当り1500億円程度の大型受注になる。
日揮、KBRグループが受注したのは世界最大の天然ガス開発会社シェル・ガス&パワー社(英ロンドン)から。同商談に招請されたのは日揮グループのほかベクテル、フルアダニエル、ABBルーマスの4グループ。
その中から日揮グループが選ばれたのは「93年に世界初の商業プラントとしてマレーシア・ビンツルに建設したシェルMDS社向けのGTLプラント(現在16,000BPSD)での実績が評価されたこと。それと、EPC段階で1基当り相当な規模のプロジェクトになるため遂行上の能力を重視したと聞いている」(森本省治専務取締役第1事業本部長)という。いわばEPC発注を前提としたFEED(基本設計役務)商談であったとみている。
シェルは2010年末までに世界の4ヵ所で次世代大型GTLプラントの建設を行なうとしている。その投資額は約60億ドルを想定している。このような大規模な投資を行なうのはGTLが、石油製品、石油化学原料の代替になること、それと硫黄や窒素を含まずクリーンであることなどによる。最初のプロジェクトへの投資決定は、2基のFEEDが終える2002年末までになされる。
1基当りのプラント規模は、LNGプラントの大型トレインと同等の600MMSCFD(LNG換算年産400万トン)になる見通し。4基の大型GTLプラントの建設候補地としてアルゼンチン、マレーシア、イラン、トリニーダドトバゴ、エジプト、インドネシア、オーストラリアなどが上がっている。
日揮は、今後活発になることが予想されるGTLプラント商談で、シェル以外のメジャーなどが計画するものにも積極的に対応していく構えだ。
<このページのTOPへ> <EnB16号目次へ>
○AdgasのLPGプロジェクトで9月末にFEED入札
UAEのAdgasが計画している新たなLPGプラントの入札が9月末にも実施される予定だ。プロジェクトは、Das Islandに建設される予定で規模は100万t/y。Stone&WebsterがPMCに選定されており、千代田化工建設がConceptual Studyを実施している。7月に本体FEEDのITBが出されており、9月末に締切。千代田化工も応札する見通しだ。
○ツバンプロジェクト、来年はじめ建設再開めざす
TPPIが建設中断中のツバンプロジェクトの芳香族部分の建設再開は2002年はじめをめざすという。Pertaminaの参画プランは進行しており、Pertaminaは予定されていた10%以上の出資を計画しており、現存株主のシェア減が必要だ。Pertaminaはナフサを既存製油所から供給、TPPIから灯・軽油、ハイオクガソリンを受け取る。2005年までに製油所を建設、TPPIと統合するという。
再開最大の問題はファイナンスでTPPIは日本の国際協力銀行など外国銀行の融資を期待している。プラント完成に4億ドル、延滞・保全コストが2000ドル、建設完了分として4.8億ドルが必要で、コントラクターの日揮は保全コスト・建設完了分の先払いを希望しているが、株主側は完成コスト優先、操業後の収入からの支払いを主張、両者間の協議がつづいているという。
○Woodside、東チモールガス問題10月末までに結論
既報のとおり、東チモールの天然ガス開発は、Shellが海上LNGプラント方式を提案、Phillipsは東チモールとの協定成立をあきらめておらず、従来のオーストラリアにパイプラインに運び、LNGとする方式と競合状況となっている。最大の利害関係者Woodsideが調整に乗り出しており、同社によると競合2社、他の利権をもつ大阪ガスの4社が、2方式を10月末までに評価することに同意したという。
○ナイジェリア第2LNGプラント、2005年を目指す
ナイジェリアの第2LNGプラントは米国の4社、ExxonMobil、Texaco、Chevron、Conocoにより計画され本年初めにFSが終了しているが、この結果によりオバサンジョ大統領は4社に対してこのプロジェクトの操業目標を2005年に設定したという。また、既報したSasol ChevronのGTLプロジェクトは現在FEED段階にある。
<このページのTOPへ> <EnB16号目次へ>
電源開発は、湯之谷揚水発電および佐梨川総合開発事業からの撤退を正式に表明した。
湯之谷揚水発電計画は、東北電力および東京電力とともに、ピーク需要対応の広域電源として、180万kW規模で2011年度運転開始の予定で開発に取り組んできたもの。しかし、東北および東京電力管内の需要が景気の低迷や省エネの進展あるいは負荷平準化によるピーク需要の伸び悩み、さらにガス冷房や自家発電の普及といった需要構造の変化によりピーク需要の見通しを大幅に下方修正せざるを得なくなり、具体的な開発時期が見通せなくなった。また電源開発自身も民営化を控えて経営効率化を推進していることから、東北および東京電力の2社との協議のうえ、計画の中止を決めたもの。
また同発電計画が、新潟県が進めている佐梨川総合開発事業を下池とする一体化した計画であるため、同事業からの撤退についても新潟県および現地自治体に申し入れを行った。
湯之谷揚水発電計画は、信濃川水系黒又川の支流明神沢川上流部に上池を、また信濃川水系魚川の支流佐梨川上流部に下池を設置し、有効落差約400mを利用した最大180万kWの純揚水発電を行うものとして計画されていた。
<このページのTOPへ> <EnB16号目次へ>