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何と言ってもまず『技術』

 先日、ある会合で資源エネルギー庁の方とお話する機会があった。
 彼は、温暖化対策の京都議定書について「外交の負けだった」と言った。オイルショック以後、一所懸命に消費エネルギーの削減を進めてきた日本と、殆ど省エネの進んでいない欧米が全く同じ土俵で削減目標を決めてしまい、さらに、確実にできないと思われる目標に対しても、ひたすらまじめに取り組んでいる日本を尻目に米国が議定書からの離脱を表明したのはけしからん、と憤っていた。
 確かに、京都議定書に記されている削減目標は、日本にとっては圧倒的に不利だ。いくら太陽電池や風力を投入しても焼け石に水といったところ。産業界もこれ以上ドラスティックに省エネを進めるなんてことは出来そうにない。結局、民生部門や運輸部門でしか削減していくことはできないし、そうした施策を実施していったとしても、目標の達成は難しいかもしれない。さらに、排出権取引をやっても、結局は取引市場が活性化するだけで、実質的に温室効果ガスを減らせるかどうかもわからない。
 「でも日本には技術があるじゃないですか」と参加者の一人が言った。返事は「そうなんですよ。技術が最も重要だ」。日本には、オイルショック以後積み重ねた技術の厚みがある。それを活用して、途上国などで省エネプロジェクトを進めていき、その削減分を日本にカウントされれば、もしかしたら達成できるかもしれない。このメカニズムはCOP7で決まる予定になっている。あるいは、またも合意が流れてしまう結果になるかもしれないが、ここで日本は踏ん張って、京都議定書における「外交の負け」を取り返さなければならない。
 「何と言っても技術が大事です」。環境問題がここまで大きくなる以前、某重工メーカーのプラント担当常務が仰っていた。地球環境にも、今進もうとしているエネルギーシフトに対応していくためにもまず技術が無ければ話にならない。
 最近では様々な環境・エネルギー分野での技術開発がプラント業界でも活発化している。こうした技術の進展こそが、問題解決を早めていく。
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