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電子電気機械が低下
素材系は上昇、電力は抑制続く

暗転する本年の設備投資動向

化学・石油分野は回復傾向に

 7月に恒例の経産省の設備投資調査が発表された。これによると、2000年度3.1%増に対して、2001年度の民間設備投資計画は製造業6.7%増、非製造業0.7%増、全産業で2.9%増と2年連続の増加の見込みと設備投資に回復の兆候をうかがわせた。
 しかし、この調査は3月現在の調査であり、8月調査の日経調査は一転して2000年度の1.5%増に対して、2001年度は2.5%減と2年ぶりの前年度減となった。とくに製造業は2000年度の6.2%増から2001年度は1.5%減となった。

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電子電気機械が低下

 両調査は対象業種・企業も異なるので厳密な比較はできないが、状況の変化はうかがえる。非製造業の伸び率の差は日経調査が低迷している運輸業を含むなど業種構成が違うことによるが、製造業が日経調査で減少に転じたのは最大のシェアを占める電子電気機械の投資が大きく落ち込んだことが影響している。日経調査によると電子電気機械の設備投資の8月調査は2月調査に対して10%減の修正率を示している。
 世界的なIT不況は日を追って厳しくなっている。8月1日以降もNEC・東芝の下方修正、富士通のリストラが発表されており、設備投資は前年度比半減以下と見込まれる。また現時点では堅調な伸びを示している非鉄金属や窯業・精密機械などIT関連業種へのIT調整の影響は避けられず、2001年度の設備投資の低下は大きなものとなる可能性がある。
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素材系は上昇、電力は抑制続く

 鉄鋼・石油・化学など素材関係の2001年度の投資は上昇が見込まれ、8月調査でも傾向は変わらない。
 石油業界は業界再編が一段落、生き残りをかけた投資の実行段階となっている。軽油の超低硫黄化に対応する軽油脱硫設備、セルフSS化投資が計画されている。
 化学は前年度まで減少していた石油化学が大幅に増加するのをはじめ、化学肥料をのぞく各業種で増加する見込みとなっている。IT関連の影響も今後考えられるが、基調は変わるまい。石油化学は2004年までに汎用樹脂の輸入関税が下がる、アジアなどの新設プラントへの対応などからスクラップ&ビルドなどの合理化投資に取り組まざるをえない状況だ。
 化学の下流、医薬・ゴム・プラスチック製品・化学繊維の2001年度投資はいずれも上昇となっている。
 鉄鋼の2001年度は増加を見込んでいるが、内訳は例年同様、中心は更新維持・合理化省力化だ。非鉄金属は光通信ケーブルや関連製品などへの投資で、IT不況の影響は避けられない。
 電力はすでに本誌で既報したように引き続き設備投資抑制傾向にある。都市ガスは微増が見込まれている。
 以上の設備投資動向からみると、2001年度の国内民間エンジニアリング市場は、石油精製、石油化学、医薬を含む化学、鉄鋼などはやや回復。電力は低迷がつづく。昨年好調であった半導体など電子機器関連市場は大きく低下という姿が想定される。
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