日揮はTechnipと共同で、イラン石油公社(National Iranian Oil Co.=NIOC)からアサリュエ地区に計画されているLNGプラントの基本設計業務(Front End Engineering Design:FEED)を受注した。受注金額は約1000万ドル(約12億円)、納期は約10ヶ月。設備はLNGプラントと各種ユーティリティ一式。能力は400-450トン/年2系列、プロセスはAPCI法。主として日揮横浜事業所でFEED業務は進められる。
アサリュエはカタールの対岸に位置する。原料の天然ガスは沖合100kmで開発が行われている南パルスガス田から供給される。このガス田は超大型のガス田で、3つのLNGプラントが計画されているが、Total-PetornasPJがプレFS段階、NIOC-BP-RelianceがFS段階、本PJがもっとも進んでいる。FEEDは2002年4月には完了予定であり、来年中にEPC契約が発注される見込み(工期は3年)、金額規模は15億ドル程度と予想される。
日揮はLNGプラント参入以来、KBRとその前身も含めて共同でビジネスを進めてきたが、KBRと組まないほぼはじめてのケースだ。イランに対して米国政府の禁輸対象であるため、KBRが参画できないからだ。TechnipはNigeria LNGのパートナーでもあり、イランでの経験・実績が多いことから組んだもの。日揮は94年完成のアラク製油所以来のイランPJ、イランでの受注活動を今後も積極的に推進するという。
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神戸製鋼は、神戸製鉄所で建設を進めているIPPプロジェクトの資金調達でプロジェクトファイナンスを採用する。日本政策投資銀行などがファイナンサーとなるもので、9月には正式に融資契約に調印する予定。調達金額は1,650億円にのぼる。
今回、神戸製鋼がプロジェクトファイナンスの採用を決めたのは、同社のIPPの規模が総出力140万kWと日本最大であり、供給責任が大きいため、ファイナンス面でも長期にわたる巨額資金を確保でき、建設資金と運転資金の確保により事業基盤を早期に確立できる金融手法が必要なためとしている。
プロジェクトファイナンスの採用により、神戸製鋼はIPP事業の特別目的会社を設立することになり、オフバランス化するため神戸製鋼の財務体質が強化される。
ファイナンスアレンジャーは、日本政策投資銀行、第一勧業銀行、三和銀行、日本興業銀行、三井住友銀行の5社。資金の調達先は15社程度を予定している。
新たに設立される事業会社は「神鋼神戸発電梶v。資本金は30億円で社長には神戸製鋼執行役員の中園政明氏が就任する。
なお、神鋼はIPP事業に関して産業再生法の適用申請を行い、あわせて産業基盤整備基金の補償申請も行う予定にしている。
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NKK、住友重機械工業、日立造船の3社が設立した、製鉄エンジニアリング会社ジャパンスチールプランテック(JSP)は、NKKプラントエンジニアリング本部との共同で、台湾・中国鋼鉄(CSC)から無方向性電磁鋼板ラインを受注した。今年4月にJSPが発足して以来、初の大型案件の受注実績となるもので、プロジェクト総額は約50億円の規模。
同プロジェクトは、台湾では初めて、高級電磁鋼板の製造も可能なラインを設置するもの。冷圧鋼板を焼鈍したのち、表面処理を行なう水平式連続焼鈍・コーティングラインを通して電磁鋼板を製造するもの。生産能力は12万t/yで、2003年4月に生産を開始する予定。
プロジェクトは、ローカルポーションと台湾国外ポーションに別れており、ローカルポーションはプロジェクト総額の3割程度。NKKが全体の取りまとめとスーパーバイジングを行い、JSPが台湾国外ポーションをFOBベースで担当する。今後NKKが設計作業を行なっていくもので、製鉄機械の製作拠点は未定としている。
JSPは4月に設立された後、これまでは改造工事など小口の案件を積み上げてきたが、今回が初めての大型案件。これまでに同社が受注したのは約68億円となっており、今年度トータルでは180〜240億円の受注を目標としている。なお、CSCは電磁鋼板を台湾国内向けに供給する計画。
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パシフィックコンサルタンツインターナショナル(PCI)は日揮と共同で、中国国内の旧日本軍遺棄化学兵器処理事業の総合コンサルタント業務を内閣府大臣官房遺棄兵器処理担当室から受注した。受注金額は2001年度分10億8000万円(PCI51%、日揮49%)、随意契約である。なおこの契約はすでに2001年初頭、2000年度分が締結されている。PCI・日揮JVの業務内容はプロジェクト・マネジメント・コンサルタント(PMC)と呼ぶもので、事業の全体計画から廃棄処理完了までマネジメント・技術両面で顧客を補佐する。日本の中央官庁がPMC方式を採用したのは初めて。PCIの受注は同社の海外でのCM実績と経験が結びついたもので、マネジメント業務強化拡大につなげたいとしている。日揮はPM能力・原子力などでの経験を生かしたコンサル業務として取り組むと見られる。
このPJは1997年に発効した化学兵器禁止条約に基づくもので、発効後10年以内に他の締約国域内に遺棄した全ての化学兵器の廃棄を義務づけている。中国との連係の上、実施されている。このPJは量が70万発と多い、老朽化、日本独特の組成など、技術的困難と規模の大きさで世界に類例がない。発掘回収作業の遠隔化自動化などの技術検討がすでに進められているという。処理プラントを含む大規模インフラ建設が見込まれ、大型商談が期待できる。
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○ヤロスラブリ製油所近代化案件が発効
三井物産が1984年に契約調印したものの、ロシアの対外債務削減方針で発効が遅れていたヤロスラブリ製油所近代化案件が発効した。契約金額は280億円で、設計・設備機材。役務業務は東洋エンジニアリングが行なう。無鉛ハイオクガソリン(52万t/y)、低硫黄ディーゼル(70万t/y)を生産する。
○重工、GEとの販売提携を否定
三菱重工業が米GEに対しディーゼルエンジンなどを提供し販売提携行なうことで基本合意がなされた、という報道に対し、三菱重工業では「GEも顧客の一つとして三菱重工の製品の取扱をお願いしているが、GE側からの返答は得られていない」とした。
○サハリンLNGプロジェクトでITB
サハリン−2プロジェクトで計画されているLNGプラント(480万t/y×2系列)のEPC商談で、国内外3グループにITBが出された。KBR〜日揮〜Bouygue、Technip〜FW、千代田〜TEC〜Nipigaspererabotkaの3グループが招聘されたもので、来年1月にテクニカル、同3月にコマーシャルが締め切りとなる予定。プロセスはSHELL法。
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