EDITORIAL
○…日経新聞のアンケート調査によると、主要製造業の半数が3年以内に自社製品の海外生産比率を引き上げる。進出先は中国が7割を占める。低コストと技術水準の向上が構造的な生産移転を促していると分析している。生産拠点の移転=空洞化が話題となっているが、忘れてはならないのは、これは同時にわが国の市場を中国などアジア諸国に譲ることであることを忘れてはならない。わが国経済は東アジア諸国なしには成り立たなくなっているのだ。
セーフガードのいたずらな発動、靖国問題・教科書問題などなどわが国の、東アジアに対する配慮に欠けた行動が目立つ。若い世代のこれらを是とする意見が多いことにも驚かせられる。わが国社会は自国さえよければよいという考えから抜け出せていない。経済の現実と社会の実態は相当なアンバランスがあるようだ。
○…猛暑のなか、夏季特集号を編集して思うこと。言われつくされたが、エンジニアリング業界を取り巻く情勢は依然として厳しい。しかし、かすかながら明るさが見え始めたというのが実感だ。リストラなど経営のスリム化が進んできたばかりともいえない。
競争の激化によって、利益を確保するのが難しくなっている状況下、情報通信関連、環境などでエンジニアリング企業の出番が増えている。客先仕様の下請けビジネスから、問題解決型ビジネスへの転回だ。
一瞬、猛暑も忘れる。
○・・・自民党の大勝となった参院選。その後数日立ったころ、漠然とテレビを見ていて、全く脈絡もなく突然に頭に浮かんだ「ああ、消費税率があがるな」。
小泉内閣のいう“痛み”とは、恐らく消費税率の引き上げを指すのだろう。閣僚に抜擢された竹中平蔵氏は、以前から消費税率は最大17%でも大丈夫、と仰っていた。この内閣による改革には、消費税率の引き上げが最初から織り込まれていたのだろう。今回、小泉人気があったとは言え、自民党が圧勝したことで、従来からの消費税率の引き上げ路線が承認されたようなものだ。
いずれ「改革を進めても、これだけ財政は厳しい。だから消費税を10%に上げる」と言い出すだろう。ある意味で小泉改革は消費税をあげるための方便なのかも知れない。
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