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急速に高まる水素への関心
10のセッションで構成

国内初の国際水素会議が11月に開催

世界の水素エネルギー研究者が講演

 究極のクリーンエネルギーと言われる水素への関心が急速に高まっている。ドイツやアイスランドなどは既に水素エネルギー経済への移行に向けて実用化を進めているが、日本でもエネルギー分野の構造改革を進めるうえで水素が重要なオプションとして認識されてきた。そうしたなか、芝浦工業大学・平田賢教授が会長を務める「日本水素フォーラム」は、今年11月に東京・日経ホールで日本ではじめての国際水素会議を実施することを決めた。
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急速に高まる水素への関心

 1997年秋以後、世界の自動車メーカーは、2003〜2004年をメドに燃料電池ハイブリッド車の大量生産体制が整うと相次ぎ発表し、エネルギー関係者に衝撃を与えた。ダイムラー・クライスラーやトヨタなどは燃料電池車の試作・走行実験を実施し、その成果を上げてきている。
 一方、燃料電池メーカーもカナダのバラ―ド、米Hパワー社などの固体高分子型燃料電池をベースに各種システムの構築を進めている。このように自動車業界と燃料電池メーカーが本格的な取組みを進めていることにより燃料電池の商用化時期は目前に迫ってきている。
 燃料電池は基本的には水素と酸素を燃料とする。現段階で燃料電池車はクリーンなガソリン(ナフサ)などを改質することで水素を得ようとし、固定型の燃料電池は天然ガス(メタン)を改質して水素を取り出すことを念頭においている。しかし、究極的には水素そのものを供給するようなインフラを整備していくことが最も効率的なシステムだ。
 既に、アイスランドでは水素をエネルギーの中心とした「水素経済」への移行を目指した国家的な取組みが始まり、ドイツでもミュンヘン空港などで水素自動車の実験が行われている。
 日本でもWE−NETなど水素の製造から利用までの各段階における技術開発を手掛けているほか、今年3月には「燃料電池実用化研究会」も発足するなど、水素社会構築への動きが徐々に本格化しようとしている。
 また昨年発足した「日本水素フォーラム」では、北東アジアに適した水素インフラに関する調査研究や、情報提供、水素社会へ向けた基本戦略の研究などの活動を行っていく予定だが、その最初の活動として、日本ではじめてとなる「国際水素会議」を開催する。
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10のセッションで構成

 同会議は、11月27〜28日の2日間にわたり開催される。プログラムは、IEAパリ代表・Carolyn Elam氏による特別講演「水素社会へのスムースな移行に関するIEA活動」を皮切りに、2日間で10のセッションで構成されており、21の講演と円卓会議が行われる。各セッションのテーマは次のとおり
○セッションT「水素社会構築の国際協調と展望」(プリンストン大学・Dr.Joan Ogden氏ほか)
○セッションU「水素の製造」(北海道大学・市川勝教授ほか)
○セッションV「水素の輸送・配送」(APCI・Venki Raman氏ほか)
○セッションW「日本における水素インフラ」(エンジニアリング振興協会・岡野一清室長ほか)
○セッションX「アジア太平洋地域での水素エネルギー国際協調」(全米水素協会前副会長Robert L.Mauro氏)
○セッションY「水素プロジェクトの実現とファイナンシング」(三井物産・高橋真理氏)
○セッションZ「再生可能エネルギーと実証プロジェクト」(横浜国立大学・谷重晴教授)
○セッション[「軽便型および固定式燃料電池」(ProtonEnergy・Robert Melusky氏)
○セッション\「水素の国際標準」(カナダ水素協会会長Tapan K.Bose氏)
○セッション]「円卓会議―水素社会の早期実現を目指して」(主要講演者)
 会議では米国およびドイツでの水素R&Dの現状が紹介されるほか、水素製造に関する最新技術、輸送面では天然ガスパイプラインの水素転用、日本への水素導入シナリオ、国際協調、燃料電池の新たな概念かたファイナンシングまで、講演内容は多岐にわたる。
問合せ:日本水素フォーラム事務局
 TEL03-3275-6309/FAX03-3275-8355

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