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骨太の方針とエンジニアリング産業

 経済財政諮問会議の作成した「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」(骨太の方針)の意味は何か。これは国民に対して、小泉政権がその構造改革を説明したものであり、この方針のもとで構造改革を進めるという小泉首相のマニフェストと受け取るべきだ。同時に経済財政諮問会議に代表される経済専門家がパッケージとしての改革プログラムの提示により、国民に対する説明責任(アカウンタビリティ)を果たすものだ。
 80-90年代、米国・英国など先進各国は抜本的な財政・経済社会の構造改革を実施、成功している。その成功にはいずれの国の場合も強力なリーダーシップと単発のプログラムではなく複数の計画を関連して実行するパッケージとしての改革が不可欠であった。わが国にもリーダーシップとパッケージとしての問題意識をもった改革が開始されたといえよう。80年代の内需振興をめざした前川レポートは構造改革に踏み込んでおらず、かえってバブルの要因をつくった。橋本改革は全体的な改革は提示したが、戦略が見えず、行革の段階で挫折した。何もまして国民の支持を求めることによるリーダーシップ形成が不足していた。
 骨太の方針は後向きの「経済再生も第一歩としての不良債権問題の抜本的解決」と前向きの「構造改革のための7つの改革プログラム」からなっている。前者の不良債権問題解決は後者の構造改革のための前提ではあるが、前者の解決のためには、一部構造改革が不可欠という相互依存関係を指摘している。
 後者の改革プログラムはわが国の経済社会システムの抜本的改革をめざしている。改革のキイワードの一つが「民間でできることは、できるだけ民間に委ねる」がある。そのために規制改革、労働市場改革などを謳う。新世紀型の社会資本整備を追求し、公共投資の規模・財源・主体など抜本的改革をめざす。その改革手段としてPFIが取り上げられている。PFIは医療・社会保障サービス分野でも期待されている。循環型社会の構築/環境の保全、都市の再生というテーマにも焦点をあてている。構造改革による官民の投資構造の変革は、投資産業であるエンジニアリング産業にとっても、大きなビジネスチャンスをもたらす。
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