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顧客指向型ビジネスを展開
米国企業とも提携

日本総研、ESPコンソーシアムを設立

病院等対象にエネルギー・サービスで事業化を目指す

 日本総合研究所は、電力自由化の進展を睨んで、総合的なエネルギーサービス事業の実現を目指すエナジー・サービス・プロバイダー(EPS)コンソーシアムを設立した。当面、市場調査や事業モデルの構築を進めていき、2年後を目処に事業会社を設立する考えだ。

顧客指向型ビジネスを展開


 国内の電力市場が一部自由化して以来、これまでに約30社の小売り事業者が登場しており、競争によって電力料金を低減させることに成功したユーザーも多く出てきた。この自由化の潮流は、その方向性や速度は今のところ不明確の部分はあるものの、自由化対象範囲が拡大されていくことについては確実視されている。
 日本総研では、自由化によって電力ビジネスは大きく変化していくものと予想している。従来の発電〜小売りまで一貫した電力ビジネスは発電(卸売)と小売りが分割され、さらに電力取引ビジネス、顧客指向型ビジネス、オンサイト型ビジネスなど多様な事業形態を生み出していく。
 そのなかで、発電プラントビジネスに関しては、メンテナンスまで含めても設備更新のインターバルが1.5倍程度まで延長され、自由化前の約70%程度まで縮小していくとしている。また現在自由化の旗手となっている電力小売りも、自由化後は売電単価が下落し、オンサイトビジネスの台頭によって販売量は15%程度下落していくと予測している。
 その一方、電力取引ビジネスは実需の5〜10倍程度の規模に膨れあがる。また顧客ニーズにあった電力主賓の開発・販売や対象顧客を絞り込んだ取引を行なう「顧客指向型ビジネス」、コージェネレーションなどによるオンサイト型ビジネスなどは急速に拡大していく。
 これら急速な発展が期待されるなかで、電力取引ビジネスは最も拡大が期待されるが、この分野への参入は特殊なエキスパティーズと資本力が必要。また電力卸売ビジネスは電力会社の発電部門が中心となる。そのため、日本総研では、顧客指向型ビジネスとオンサイト型ビジネスの二つに注目。オンサイト型に関しては今後の発電技術の進歩と環境規制の強化などから、「グリーン・オンサイト・ビジネス」に焦点を当てていく。
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米国企業とも提携

 ESPコンソーシアムは、鉄鋼メーカーやガス会社、商社、重機メーカーなど15社程度でスタート。当面は電力自由化動向の調査と、「顧客指向型ビジネス」のテストマーケティンング、「グリーン・オンサイト・ビジネス」の事業スキームの検討を中心に活動していく。
 特に、病院や自治体などエネルギーを比較的大量に消費するユーザーへのテストマーケティングを行い、最適なエネルギー調達スキームや事業方式を検討していく。
 その際、米国で病院向けにインターネットを通じてエネルギー調達サービスや、コンサルテーション、資産有効活用サービスなどを提供している企業ECOMや、フランチャイズ展開している企業を対象にエネルギー帳票処理からエネルギーコスト管理・アドバイスなどを展開しているAVISTAと提携、それら米国で展開されている新たな電力ビジネスをベースに日本での事業化を図っていく。
 「エネルギービジネスはTEMS(Total Energy Management Service)からTFMS(Total Facility Management Service)へと向かう」(日本総合研究所・井熊均氏)。エネルギーのみならず、ユーザーを取り巻く通信、上下水道などを含めた多様なファシリティを総合的に管理していくサービスが将来的に生み出されてくる。EPSコンソーシアムは、TFMSまで視野に入れたビジネス戦略を構築していくことを目指している。
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