東洋エンジニアリング(TEC)は、韓国およびバングラデシュから2件のプロジェクトを受注した。
韓国向けに受注したのは、S-Oilの温山製油所近代化プロジェクト。処理能力3万b/dの減圧残渣油脱硫装置、90MMSCFDの水素製造装置、および220t/dの硫黄回収設備と、付帯設備。受注額は約300億円で、2003年2月に完成の予定。なお水素製造装置にはTECの蒸気改質プロセスが採用される予定だ。同プロジェクトは、6月に韓国主要14都市での施行が予定されている、燃料油中の硫黄分含有量低減規制に対応するもの。韓国では、2003年にもさらなる環境規制の強化が行なわれるものと見られており、今回のプロジェクトはこうした動きも視野に入れたもの。TECの役務範囲は、基本および詳細設計から調達サービス、プロジェクト管理、工事管理まで。また同プロジェクトでは、韓国現地法人であるTECコリアを遂行拠点として活用していく。
一方バングラデシュからは同国化学工業公社(BCIC)から、同公社傘下のチッタゴン肥料工場能力増強プロジェクトを三井物産との共同で受注した。同工場はTECが建設を担当し、1987年に稼働したプラント。アンモニア1,000t/d、尿素1,750t/dの能力があるが、アンモニアを1,200t/dに増強。昨年TECが受注したリン酸肥料プラントの原料を供給する。受注額は76億円で一括請負契約。2003年に完成の予定。なお、同工場の尿素プラントの大粒化計画もあり、TECは連続受注を狙っている。
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伊藤忠商事は、インドネシア運輸省から鉄道複線化工事を受注した。現地企業であるP.T. John Holland Constructions Indonesia、およびP.T. Adhi Karyaとの共同で受注したもので、受注額は55億円。契約工期は40カ月で、完工は2004年9月の予定。
受注したプロジェクトは、インドネシア運輸省が鉄道整備事業の一環として計画している軌道複線化のうち、ジャワ北幹線のチカンペック〜ハウルグリス間の55kmを複線化するもの。軌道の複線化を行なうと共に、駅舎や橋梁の新設、鉄道信号の供給および設置を含む工事。
ジャワ北幹線は首都ジャカルタとインドネシア第2の都市スラバヤを結ぶ幹線鉄道の一つであり、そのなかでもジャカルタ寄りのチカンペック〜ハウルグリス間は特に、輸送量増大のために早急な線路容量の拡大が必要になっていた路線区。今回、同社コンソーシアムが受注した複線化工事により、輸送量の増大が図れるほか、列車ダイヤの正確性や運行速度の向上、列車衝突事故防止による安全の確保が図れることになる。
同プロジェクトの資金に関しては、1998年1月にOECF(現JBIC)により、87億4,800万円を限度とする円借款(ジェネラルアンタイドローン)が供与されている。
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MHI―HITACHI製鉄機械は、2000年度受注高が140億円強となり、当初の計画値を達成した。三菱重工業と日立製作所を合わせた年間受注額を250〜300億円程度と見込んでいたため、2000年10月からの半期ベースでは順調な滑り出しといえる。2001年度はさらに需要環境が厳しくなると見られるが、中国などをターゲットに輸出比率を8割程度まで高め、通期300億円強の受注を目指す。
同社は、三菱重工業と冷間圧延機メーカーの日立製作所が2000年10月に設立した合弁会社。2000年度は厳しい需要環境のなかで、日立製作所関連の冷延ミル、特殊鋼ミルなどの新設・改造工事など国内が健闘。海外でも唐山鋼鉄集団の薄スラブ式熱間圧延設備などの大型プロジェクト受注と順調な滑り出しを見せた。
2001年度需要見通しについては「今年度がボトムとなり、2002年以降、半導体関連、家電製品などを中心に国内需要は回復する」(宮永社長)としている。このため現在、比較的案件が出ている中国などをターゲットに、輸出比率を8割まで上げる計画だ。
当面は、三菱重工業や日立製作所の技術蓄積を活かしながら、効率向上と技術開発をベースに製鉄機械事業としての安定性確保と再成長を目指す。今後は、製販一体の会社への事業統合を進めることが課題となる。
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三井造船は、インドから酢酸プラントの増強工事を受注した。グジャラート・ナルマダ・バレイ・ファーティライザー(GNFC)社の既存プラントの能力を倍増させるもので、受注額は約20億円。完成は2003年3月の予定。
同プロジェクトは、三井造船が1995年に納入した酢酸プラントに対して、BP Amocoのプロセスを使って、年産5万トンから同10万トンに増強するもの。契約形態は、FOB+SV派遣ベース。
ポリエステル繊維やポリエチレンテレフタレート(PET)がアジア・太平洋地域を中心に需要が急速に拡大している。そのため、これらの原料となる高純度テレフタル酸(PTA)の需要も増大している。PTA供給メーカーは、テレフタル酸製造プラントをアジア太平洋地域で活発に建設を進めているところであり、インドでもテレフタル酸の需要が増加している。
これに対応して、テレフタル酸の原料となる酢酸の生産能力の向上が求められており、今回のプロジェクトもその一つとして位置付けられる。
商談では、既設プラントの建設実績と、プラント増強工事の特殊性、さらにBPプロセスに対する知見が高く評価されて、海外有力コントラクターを抑えて受注に成功したとしている。
三井造船では、これを機にインドやタイなどアジア地域での受注活動を活発化していく考え。
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新日本製鉄は、製鋼工程で発生した超微細鉄粉をベースとする環境型高効率土壌浄化法(DOG工法)をメニューに加え、土壌浄化事業を強化する。
同技術は、平均粒径0.6ミクロンの鉄粉をコロイド状に分散させた水溶液を土壌中に注入浸透させて汚染土壌を浄化するもの。スラリー状にした鉄粉を現場に持ち込む原位置処理で、一般的なグラウト工法が使える。また、1カ月で汚染濃度を1桁程度下げることができる。
鉄粉の還元反応により、トリクロロエチレンは、炭化水素と塩化鉄として無害化。6価クロムは、3価クロムへ、シアンは、不溶化して地下水汚染を防止するなど多様な汚染物質に対応できる。従来の土壌浄化法に比べ施工が簡便で、工事費込みで1m3あたり3〜8万円と、3分の1程度の費用で済む。
同社では99年7月にハザマ、東洋インキと共同特許を出願し、実用化に取り組んできた。八幡製鉄所で鉄粉を製造、北九州市内でコロイド鉄に分散加工する。このプラントは汚染土壌換算で年間5万m3に対応する鉄コロイドを製造することができる。新日鉄の環境・水道事業部は、この技術を活用し、3年後に土壌環境グループが事業目標とする50億円達成に向けた有力ツールとして本格的に事業展開していく方針。
神戸製鋼所は、6月1日付けで「環境ソリューション部」を新設、新規事業開拓や環境に関するソリューションビジネスを強化する。流動床式ガス化溶融炉などの燃焼技術ベースの環境ビジネスを軸に、土壌浄化事業や最終処分場の浸出水処理など新たな事業領域拡大を本格化させる。都市環境・エンジニアリングカンパニーの中核事業として、50億円規模の事業体を目指す。
「環境ソリューション部」は24名体制でスタート。新規事業開拓と人材の効率的な活用が最大の狙いであり、今上期中にエンジニアリング部門を中心にシフトして50名体制に増強する計画。従来、同社の環境ビジネスは焼却炉やガス化溶融炉を中心に展開。ダイオキシン規制を背景に着実に受注を伸ばし、2000年度は廃棄物処理だけで500億円、カンパニー全体で900億円と過去最高の受注を達成した。
一方、今年度以降のガス化溶融炉マーケットの落ち込みをカバーすべく、新規事業開拓や人材・経営資の効率化に乗り出した。新分野としてはリサイクルや廃家電処理施設、土壌浄化、最終処分場の浸出水処理施設などに進出する。
リサイクル施設では、焼却炉併設型にとどまらず、単独施設の営業活動を展開。廃家電処理では、すでに松下電工と平林金属向けに分別設備を2ライン納入。今後も提案活動を強化していく。またゼネコン3社との連携をベースに、土壌浄化ビジネスの参入。また、最終処分場浸出水向けのAOPプラントの拡販なども狙っていく。
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