EDITORIAL
○…竹中平蔵慶大教授が経済財政担当大臣になったことは、経済学者が経済政策を担当するという日本の経済学にとって画期的なことだ。さらに予算の基本方針を策定し、構造改革の骨太の方針となる経済・財政の基本方針を作成する役割を与えられている経済諮問会議には、東大の吉川洋教授、大阪大学の本間正明教授という有力学者が参画している。これに民間のエコノミスト田中直毅氏が「郵政三事業の在り方についついて考える懇談会」の座長であることを加えてもいいかも知れない。
今回の小泉内閣の構造改革、とくに基本方針において、経済学とは何なのか、経済学は役に立つのかと国民に対する経済学のアカウンタビリティが求められているのだ。いままで経済学者は政府に対する個別に批判すればよかった、今後はトータルな対案をもった批判が必要だ。
○…構造改革の賛成派は多数を占めるだろう。しかし、これを本当に進めようとすると必ず各論反対にぶちあたる。「既得権益」を死守したい勢力があらゆるところに存在する。公共事業の見直しを例にとる。建設業は全国に50万社。約7百万人を越す就業者数だという。農業人口の約3倍。多くは公共事業で食べている。公共事業の削減は特に地方の建設業にとって死活問題。「つぶれる企業が続出、失業者が巷にあふれる」と、この分野を集票・集金マシーンとしてきた政治家は抵抗する。だが、多くの産業は生き残りのため合併・統合・リストラなど血を流してきている。改革の洗礼を早く浴びることで建設業の未来は見えてくる。「雇用確保」を錦の御旗にしても遅かれ早かれ日本的システムは崩れざるを得ない。
○・・・エネルギーに関する話題が多い。10年前ならエネルギーの話題といえば、原子力か原油価格ぐらい。そのなかで新エネルギーの話題が少し入る程度だった。それがいまや燃料電池だDMEだ、GTLだと、実にバラエティに富んだ世界になってきた。
通信が自由化されて、各個人が電話会社を選べるようになったのも、この10年間。おかげでマイラインの営業電話にさんざん仕事を邪魔されるというデメリットはあるものの、通信費用の低減という大きなメリットが生まれている。
電力やガスは基本的にまだ個人が会社を選べるわけではないが自由化はさらに進む。「今ご契約されれば、お宅の電気・ガスを纏めて他社よりお安くします。ついでに燃料電池もいかがですか?」。10年後にはそんな電話がじゃんじゃんかかってくるかも。
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