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米国通商代表部、日本の公共工事契約の差別を指摘

 米国通商代表部(USTR)が4月末発表したレポートによると日本の不平等な調達手続きが継続していることが、米国の設計・建設企業の日本での契約獲得を妨げていると指摘している。もっとも近々に具体的な調査の予定はないという。

 このレポートは88年の包括通商競争力法に基づくもの。米国は日本の調達手続きの改善が進んでいないことに失望しており、日本にこれら問題を解決すべく、早急かつ具体的な対策をとることを求める。とくに公共工事調達システムの公正度をたかめ、不平等な手続きを除去することを要求する。これらが米国企業がこの市場に参入することを妨げているという。USTRの算定によると、1999年の数字で日本の3000億ドルの公共工事市場において、米国は僅か5000万ドルに過ぎない。
 USTRはまた、台湾についても指摘を行っている。調達の不平等については大きな進歩があったものの、入札などにおける米国企業への制限を問題にしている。
 日本の建設市場開放は88年に日米間で建設市場開放合意がなされた。しかし実質的には日本企業の利権の一部を米国企業に与えて懐柔したにすぎない。米国の具体的要求が現実化すれば、今度は本格的な市場の開放が行われよう。日本企業買収を含む海外企業参入により産業構造の変化が急速に進むことが予想できる。
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