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エンジニアリング業界の事業再編・業界再編


 昨年の中間決算時に発表された各社の再建計画は、具体的な事業再編計画が提示されたものが目立った。日本の産業界の経営改革も、産業構造調整の圧力や株式市場の厳しい目が各社の背中を押して、ようやく本格化してきたようだ。4月に入ると、造船・鉄鋼・化学での合併が正式決定した。わが国産業界にも漸く大型合併による業界再編が実現に向かっている。
 専業大手の動向をみると、LNGプラントの受注などハイドロカーボン分野の受注が増加してきている。東洋エンジニアリングのトータルソリュージョンプロバイダー志向戦略の強化、千代田化工のアライアンス戦略などの再建計画の実行の環境も好転しつつある。千代田化工は最近、ノンハイドロ事業として成功したといわれた自動車事業を合弁事業とし、経営権を譲渡した。引き続いてわが国環境ビジネスで注目されている分野である土壌浄化事業を担当する長い歴史を有する子会社を売却した。本格的な事業の選択と集中の動きとして注目される。
 兼業エンジニアリング業界の事業再編・経営改革の動きが急進展している。造船事業における合併が日立造船・NKK、石川島播磨・川崎重工とつづき、三菱重工に対抗する企業体制となった。兼業分野では製鉄機械で日立製作所・三菱重工、NKK・住友重機械・日立造船と2つの統合が実現した。一方鉄鋼業界は川崎製鉄・NKKの合併により新日本製鉄に対抗する企業が成立した。この合併は本業だけでなく、エンジニアリング事業も含んだ統合となっている。鉄鋼業界がユーザーノウハウを生かしたソリューションビジネスをめざしているのに対して、造船重機業界のエンジニアリング・プラントビジネスへの対応は、製鉄プラント以外の動きはまだ大きくない。化学プラント・環境プラント分野での今後の業界再編が期待される。
 化学では住友化学・三井化学の正式合併が発表された。これは本業レベルまででエンジニアリングビジネスなどへの対応は明らかでない。三菱レイヨンエンジニアリングの中期計画が連結経営計画としたのが注目される。化学業界では連結経営に対応したエンジニアリングビジネス戦略が次の課題だ。
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