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EDITORIAL


○…金融担当相が金融機関に不良債権の直接償却を要求、いよいよ不良企業の再建が本格化しそうだ。このところ目立つ産業界の大型合併もこれと無縁ではない。
 このほど民主党が金融庁の資料に基づき発表した昨年3月末の問題企業向け融資は151兆円の巨額に達するという。金融庁の公表した数字は81兆円だから倍近い数値だ。この差は問題企業への融資のうち「優良」担保や保証のあるもの70兆円を金融庁が除いているためだ。
 これほど巨額の債権処理は再び銀行に公的資金投入することなしに、解決できるものではない。小泉政権が成立する。ようやく構造改革を全面に掲げる政権として、国民の期待が高い。構造改革・経済再生は国民の大きな負担が伴う。国民の合意と納得を得るためには、改革の展望を提示するとともにそれを実行する強力な政治意志が必要だ。

○…最近建設された神社仏閣のたぐいをみて感じる。コンクリートと鉄で固められた建造物のなんと多いことか。コスト、耐久性を優先すればそうなるのであろうか。しかし古くなったその建造物は醜悪でさえある。
 ”脱ダム宣言”が話題になったが、コンクリートで固めたダムが自然に溶け込むわけがない。治山治水は為政者の重要な仕事である。しかし、ダムを建設すれば万全なのだろうか。長期的な観点からすれば却って大規模な洪水を引き起こす可能性もある。コンクリートは万能ではない。

○・・・今年初めから技術士の英文名称が変った。“Professional Engineer”である。略称はP.E.Jp。だが、米国の技術資格である“Professional Engineer”とは資格制度上、何の関係もない。
 日本技術士会に登録している技術士は大きく分けてコンサルタントエンジニアと企業内技術士がおり、企業内技術士の仕事は基本的には米PEとさほど変りはない。しかし、技術士はプロジェクトの遂行を目的とした資格ではなく、むしろコンサルタント・エンジニアとしての資格である。資格の中身が違うのに、英文標記は同じにしてしまう。無論、米国とのハーモナイゼーションもない。PEの名前が世界的に通用しているからといって、安直に名前だけを変えてしまっても、海外では混乱を招くだけだ。
 地方に無数にある「○○銀座」と同じことを国際的にやっているようだ。
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