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三菱化学エンジのエネルギーソリューションビジネス

エネルギー設備のアウトソーシングに対応

 エネルギー設備は、ユーティリティであり、国内でもこの部分をアウトソーシングする傾向が出てきている。三菱化学エンジニアリング(MEC)は、工場などのエネルギー設備の総合評価解析プログラムを開発、これを活用してインターネットホームページ上で顧客にとって最適なエネルギーシステムを提案するサービスを今年から始めている。このサービスを切り口として最適なエネルギーシステムを構築するとともに、24時間監視システムによる予防保全支援を含めた総合的なエネルギー・ソリューション事業を展開していく。

エネルギーのアウトソーシング

 従来、工場などのエネルギー設備はハードメーカーがそれぞれに手掛けてきた。プラントビジネスと同様、システムのサプライとそのメンテナンスがサプライヤーの仕事であり、オペレーションに関しては顧客側の問題であった。だが、製造業におけるアウトソーシングの拡大は、国内でも進んでおり、そのなかでもユーティリティ設備であるエネルギー設備のアウトソーシングが進みつつある。こうした状況では、従来のように設備の売り切りでは顧客のニーズに対応しきれない。また、メーカーによる提案には自社の保有設備の範囲内という限界も出てくる。ソリューション・ビジネスという観点からエネルギー設備を見ると、メーカーにこだわらずに機種選定を行い、熱回収・利用システムを組み合わせて最適化して構築。さらにオペレーション・サービスを含めた事業展開が求められてくる。こうした「エネルギー・ソリューション事業」への取組みは近年漸く始まったばかりだ。しかし、プラント建設を手掛けてきたエンジニアリング会社は同事業の展開の可能性をもちながら、これまで積極的な取組みはあまり見られなかった。
 そのなかで三菱化学エンジニアリングは、エネルギー・ソリューション事業にいち早く取り組みを開始した。

O&Mまで一貫体制

 同社が開発したエネルギー設備評価解析プログラム「EO-PAC」は、総合熱力学シミュレーション技術を基に、コージェネレーションなど各種のエネルギーシステムの最適化を図るもの。メーカーを問わずに各種コージェネレーション設備と、冷熱・温熱など熱回収システムの最適化を、需要の昼夜間および季節変動と買電のバランスによって判断し、最もエネルギーコストを低減できるシステムを提案できる。
 これまで三菱化学エンジニアリングは、STL蓄熱システムで約170社、ガスエンジンやガスタービンなど各種のコージェネレーションで50社におよぶ数多くのシステムを手掛けている。そこで積み上げられてきたデータやノウハウを分類整理して同ソフトに反映させている。
 同社では、ホームページで顧客が同ソフトによってシミュレーションできるようにしている。入力された時点から1週間以内でシミュレーション結果を通知するようにしており、これを切り口として事業の拡大を狙っている。1月15日にサービスを開始して以来、アクセス数も着実に伸びており、既にいくつかの有望案件も出始めている。
 4月には本社および茨城県の鹿島動力に24時間の運転監視センターを設置、この二カ所で全国をカバーする運転監視サービスを展開していく。また、メンテナンスに関してはプラント保守事業でつちかった予防保全ノウハウを活かし、保全建設本部との協調体制を敷いている。同社が開発した、部品から設備管理を行い、過去のトレンドから部品交換予測までを行うソフト「AMISYS」と連携したシステムを構築し、メンテナンスビジネスを強化している。
 メーカーにとらわれないシステム提案と、オペレーションおよびメンテナンスサービスを組み合わせた三菱化学エンジニアリングの総合エネルギーソリューション事業。食品や電気の大手メーカーがファシリティ・エンジニアをアウトソーシングしつつあるなかで、エネルギー分野の受け手として、現在50億円の事業規模を5年後には100億円に倍増させていく考えだ。
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