大阪ガスエンジニアリング(OGE)と新日本製鉄は、国内で初めて実施される、内航船によるLNG供給の受入基地の建設業務を受注した。
今回受注したのは、岡山ガスが築港工場に建設を予定している内航LNG輸送の受入基地建設業務。大阪ガスエンジニアリングが総括エンジニアリング業務を担当し、設計・施工を新日本製鉄が担当する。着工は今年8月頃で、2003年に完成の予定。
築港工場では、タンクローリーでLNGを受け入れるためのサテライト基地およびLNG内航船用の受入タンク、気化器などを建設する予定。サテライトLNG設備は容量15klタンク2基で構成、内航船用受入れタンクは地上式の7,000klタンク1基を建設する。OGE〜新日鉄の受注額は明らかではないが、総投資額は約95億円とされている。
内航船によるLNG輸送は、大阪ガスおよび、新日鉄、北九州LNGから岡山ガスおよび四国ガスへ供給されるもの。LNG船は1,000トン積が予定されており、輸送も新日鉄が行う。供給量は岡山ガス向けが年間約5万トン、四国ガス向けが約9万トン。供給開始は2003年8月(大阪ガスは2005年12月)を予定している。
なお、四国ガスでも容量1万klのLNGタンクなどを建設する予定であり、こちらもOGE〜新日鉄が近く受注する見込みとなっている。
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川崎重工業は、モロッコ向けにセメントプラントを正式に受注した。受注額は約50億円。完成は2003年6月の予定。
同プロジェクトは、世界最大のセメント・メジャーである仏ラファージュとモロッコ最大の王族系企業ONA(オムニアム・ノード・アフリカ)が共同出資で設立したラファージュモロッコが計画しているもので、モロッコ北部テトワン(Totouan)市に日産2,300トンのセメント・プラントを建設する。川崎重工業は、原料粉砕・焼成、セメント粉砕など主要設備機器の供給と、据付工事を受注した。
現在、同サイトでは既設セメントプラントが環境問題を引き起こしているため、既設設備を廃棄しその跡地に新規プラントを建設するスクラップ&ビルドであり、モロッコのセメント需要への対応と同地域の環境改善がプロジェクトの目的。プロジェクトの資金は客先が調達する。
川崎重工業が北アフリカ地域でセメントプラントを受注するのは、1970年代以来のこととなり、今回の受注により北アフリカ5カ国全てにセメント製造設備を納入することになる。また、ラファージュ向けにセメントプラントを受注するのもこれが初めてであり、これによりラファージュの世界各地における新設・改造案件への足がかりを得たことで、セメントプラント・ビジネスの世界展開において重要な契機となるものと見られる。
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千代田化工建設は、三井物産およびSnamprogettiと共同で、カタール・ラスラファンLNG(ラスガス)からLNGプラント第3期増設工事を受注した。受注額は6億ドル程度と見られる。
同プロジェクトは、カタールペトロリアム(QGPC)とExxon Mobilが出資するラスガスが年産470万トンという1系列当たり能力世界最大のプラントを第3期増設として建設するもの。プロセスはAPCI法。完成は2004年初めで、インド・ペトロネット向けに出荷される予定となっている。
商談は、昨年12月にテクニカルビッドが実施され、千代田化工建設グループのほか米ベクテル〜ギリシャCCC、日揮〜KBR〜Technipなどが参加した。今年3月にはコマーシャルビッドも実施され、契約交渉が進められていた。千代田は、すでに運転されている第1・第2系列のEPCを手掛けているほか、今回のプロジェクトでもFEED(基本計画・設計業務)を行っており、これらの実績と価格が評価されて受注に成功した。
今回の契約は、第3系列のEPCを対象としたものであるが、オプションとして第4系列および追加LNG貯蔵設備、出荷施設、ガス利用設備などがつけられており、このオプションを含めると総額10億ドルに達すると見られている。
なお、ファイナンスは基本的にラスガスが資金調達するが、日米伊各国からの機器供給分はそれぞれの国のファイナンスサービスが要求されている。
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東洋エンジニアリング(TEC)のプラント受注が続いている。サウジアラビア向けポリエチレンプラント追加増設工事を受注したのに加えマレーシアからも高級アルコールプラントを受注した。
サウジアラビアのポリエチレンプラントは、サウジアラビア基礎産業公社の子会社PETROKEMYA向けに受注したもの。同国東海岸のAl-Jubail工業地区での追加工事となる。TECは今年1月、PETROKEMYAから40万t/yのポリエチレンプラントを受注しており、今回の追加工事でも40万t/yのプラントを建設。合計で80万t/yで、ポリエチレンプラントとしては世界最大級。受注額は200億円程度と見られ、TECの役務範囲は設計から機器資材の調達、工事までの一括請負であり、完成は2003年ごろ。同社は現在、同工業地区でNCFC向けアンモニアプラントを建設中であるのに加え、1月のPEプラント受注もあり、同地区での工事が続く。
一方、マレーシアでは花王から高級アルコールプラント増強工事を受注した。花王が同国ペナン州に保有している既存のアルコールプラント2基を対象に、増産を目指した増強工事を行うもの。既存設備はいずれもTECが1992年および1995年に建設したもの。2002年4月までに生産能力を16万5,000トンに高める。同プロジェクトでは、TECのマレーシア法人を活用して官庁申請業務援助を進めるとともに、第1、第2プラント建設の経験を運転・保守面に反映できるよう検討を進めてきたことが評価された。
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日揮は、アルジェリア炭化水素公社(SONATRACH)から、ハッシ・ルメルガス田の天然ガス処理プラント向けにガス昇圧設備建設プロジェクトを正式に受注した。
同プロジェクトは、ハッシ・ルメル地区にある5つの天然ガス処理プラントを対象としたもの。いずれも1970年代までに操業を開始しており、長年にわたるガス生産に伴い、原料ガス生産井戸の圧力が低下している。それに対処するため、既設モジュールの上流にブースティング・コンプレッサー・ステーションを新設し、原料ガス圧力を最低運転圧力以上に昇圧してから天然ガス処理プラントへ送り、プラントの安定運転の継続を図るもの。ブースティング・コンプレッサー・ステーションはハッシ・ルメル地区の南北および中央の3箇所に分かれて建設される。各ステーションは、気液分離ドラム、ガスタービン・コンプレッサー、空冷式ガス・クーラー、コンデンセート・ポンプなどで構成。付帯設備として計器室、電源室などの建屋、ユーティリティ設備などが含まれる。南・北のステーションは処理能力6,200万m3/d、中央は1億5,500万m3/d。コンプレッサー数はいずれも3基。受注額は約400億円であり、これにより日揮の2000年度受注額は3,000億円に達した。
日揮では、同国でウルウド油田開発プロジェクトを手掛けているほか、SONATRACH向けで多数の実績を持つ。同プロジェクトも昨年の秋には内定しており、これまで契約交渉を続けていた。
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国際協力事業団(JICA)は、モンゴル・ウランバートル第4火力発電所改修計画に関する支援開発調査で5月に入札を行う。国際協力銀行(JBIC)が有償資金協力事業として融資を決めている改修計画の実施設計および入札図書の作成と、同発電所における将来のメンテナンス計画を作成することを目的とした業務。
ウランバートル第4火力発電所は、出力540MWでウランバートル市内の電力の約70%、温熱水の約60%を供給しているが、間接燃焼方式を採用しているため事故が多発するなど稼働率が低下、暖房用温熱水の温度低下や停電が頻繁に起こっている。そのため、日本は1996年から同発電所改修の第1フェーズとして第1〜第4ボイラの燃焼方式転換と制御装置の改修・更新、ボイラチューブの調達などを実施してきた、今回第2フェーズとして、第5〜第8ボイラの燃焼方式転換、制御装置改修などを行うもので、そのため仕様の決定や入札図書などを作成、同時に調査を通じてカウンターパートへの技術移転を目的としている。調査期間は今年6月から2002年9月中旬まで委託先の選定作業は既に開始されており、5月にも選定され、6月上旬にかけて契約が調印される予定。
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