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米国で「ブラウンフィールド」支援法が審議


 Brownfieldとは比較的新しい用語で、古い産業用地を浄化(土壌・地下水)して再開発するプロジェクトを指し、新規立地greenfieldに対する言葉。90年代から米国で注目されている手法だ。米国環境省(EPA)のBrownfield fundが96年に作られているが、最近さらにBrownfieldを進めるために、新たな支援法が提案され、審議されている。ブッシュ政権の支援など好条件もあるが、上下院や民主共和両党の各議員の思惑があり、審議には時間がかかるとみられている。

 Brownfieldによる再開発は新たに自然を開発しない、旧用地の環境修復であり、21世紀の環境優先社会に対して最高でもっとも高貴な(highest and noblest)開発の形態とされる。brownfieldプロジェクトは一律に浄化基準を適用する方式とは異なって、リスクベースのアセスメントを行う。従って同じ再開発といっても、住宅用地の浄化は、商業地や軽工業用地の浄化に比べて高い水準を必要とする。用地に残った残存汚染物質接触のリスクが住宅用地の方が高いからだ。
 96年に制定されたBrownfield fundは都市地域における汚染用地のオーナーのファイナンシャルリスクに限定されていた。それでもAtlantic Steel再開発プロジェクトなどの実績もでていたが、一層の連邦政府による支援が望まれていた。昨年、上院に法案が提出されたが残念ながら否決されていた。
 しかし一旦否決されたBrownField法が2月以降、再度復活の動きを見せている。選挙後の情勢変化、反対の理由に対する一部修正、それにもましてブッシュ政権が環境問題でBrownfieldを目玉と考えていることがある。環境長官Whitman氏は前New Jersy州知事でBrownfieldを推進していた。
 この法律案の内容は州や居留区に5年間毎年1.5億ドルの助成金を交付する。用途はBrownfield地域のリストアップ、調査研究、環境修復となっている。ほかに5年間各年5,000万ドルという州や居留区のbrownfield計画立案もしくは改良費用として提供される。なお、現状のEPAのBrownfield予算は9,200万ドルである。この法案はまた、州によりフレキシブルな浄化戦略を認めている。また、自分自身が汚染原因ではない、他者から汚染をもらった「innocent parties」に対する責任の免除を認めている。
 この法案は上院の環境・公共工事委員会を通過し、上院の通過を目指している。しかし共和党の保守派、民主党の進歩派が修正を狙っている。また下院の日程はいまのところ全くめどがたっていない。おそらく今後いくつかの修正が加えられ、成立するものとみられる。
 なお、この法案は環境修復の米国の基本であるSuperfundとは別の法律となっている。Superfundは米政府自らが設けた汚染施設浄化基金で1980年に法制化された。有害・危険物問題に対する迅速かつ政府の責任ある対応および厳しい責任追及主義である。
 Brownfield法の制定は、旧工業用地の再開発問題をかえる各都市にとり有利な政策だ。また現制度に比べて、エンジニアリング企業のスコープの直接支援になっており、期待が大きい。
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