EDITORIAL
○…千葉県で堂本知事が誕生した。最近では長野県・栃木県につぐ無党派知事の当選だ。注目すべきは、無党派市民が埋立・ダムなど開発優先の公共工事の見直しを実現しようという候補者を擁立、「勝手連」型選挙により勝利したことだ。
諫早湾の干拓は有明海全体にわたるノリ不作=漁業崩壊という「予想外」の自然の報復に見舞われている。まさにマイナスの経済効果だ。他国の例を見ても水門を開けば元に戻るというものではない。回復には巨額の投資と時間が必要だ。
開発型の公共投資は自然破壊だけでなく、その経済効果も疑われている。21世紀は自然との調和が人類の大課題となる。公共投資の環境回復型への転換が必要だ。土壌浄化は環境修復であり、これ以上の自然破壊のない経済的にも有利な方策。米国のように公的資金の支援が当然。環境回復型への転換の一歩とすべきだ。
○…風力発電プロジェクト計画が目白押しだ。○○社が受注というニュースが毎日のように報道される。環境への負荷が小さく、クリーンなエネルギーとして自治体も風力発電に積極的に取り組むところが多い。
確かに、都市部に立地するのではなく離島、山間部、海岸など僻地における電源として大きな意味を持つ。しかし、個人的な感想でいうと何十メートルにもおよぶ巨大なプロペラが数十基も立ち並ぶ光景は、決して美しくない。異様ですらある。一度建設したものを取り壊すのはむずかしい。せめて、オランダの風車のように周辺に溶け込む「美観上の配慮」があってもいいのではないか。
○・・・「科学技術立国を目指す」と言いながら、来年度からの教科書では、理数系科目の学習内容が大幅に削減される。中学校の理科では、電力と電流・電圧の公式が消え、電子を教えなくなり、原子記号や火山分布図も消えるという。数学でも確率の計算が一部なくなる。理数系科目の授業時間そのものが2割削減されるというのだ。
昔読んだSF小説「メトセラの子ら」のなかに、こんなセリフがあった「生きていくために数学ほど大事な学問はない」。著者アーサーCクラーク本人が科学者だから、ちょっと割り引いて読むべきだとは思うが、文系人間からみても数学の大切さはわかる。既に日本人の理数系の能力の低下が叫ばれているにも拘わらず、学習内容は減らされる。このままでは将来、日本にエンジニアを志す人間が激減してしまうのではないか。
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