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日揮、総合エネルギーサービス事業に進出
IHI、利益第一の新3ヵ年計画を策定
千代田、ゴールドキャリア制度を発足
日商岩井、韓国プラント機器購買サイトに参画
日揮、中央アジアでPEプラントを内定
川崎重工、中国最大級の大型肥料プラント受注
三井造船、タイ、メキシコから相次ぎプラント受注
物産〜重工、ブラジル向けGT発電機を受注
三菱重工、土壌浄化事業を本格化

日揮、総合エネルギーサービス事業に進出

 日揮が総合エネルギーサービス事業に進出する。中部電力グループおよび東邦ガスなどとともに同事業を行う新会社「シーエナジー」を4月に設立する。
 新会社は中部電力および東邦ガスのほか、コスモ石油、中部ガス、中部プラントサービス、シーテック、日揮の各社が共同で設立する。資本金は4億円で、中部電力およびグループ会社で62%、東邦ガスが13%、コスモ石油と日揮がそれぞれ10%、中部ガスが5%を出資する。本社は名古屋に置き、当初は15名の陣容でスタートする。代表取締役は未定だが、中部電力から選任される。
 新会社が手がける事業は、省エネルギーやエネルギーコスト削減の具体的な方策の提供などのエネルギーコンサルティング業務から、顧客に最適なエネルギーシステムの設計・施工、燃料供給、メンテナンスまでを“ワンストップ・サービス”で提供するもの。具体的には、@顧客のエネルギー利用に関する総合的なコンサルティングと最適なシステム提供のためのソリューションエンジニアリング、A分散型電源が必要な場合には採用し、設置、メンテナンス、運転代行も行う、Bコスト低減や環境負荷低減のための発電燃料やプロセス用燃料の提供などとしている。
 このため、中部電力は営業活動によって得られた分散型電源ニーズなどの情報を新会社に提供するほか、東邦ガスおよび中部ガスからはマイクロガスタービンに関する営業情報の提供および都市ガスの供給を行う。コスモ石油は石油系の燃料を供給、中部電力グループ2社は設備診断工事やメンテナンス業務を担当する。日揮は特に、産業系の顧客を中心として、設備診断やエネルギーシステム最適化の提案、そしてエンジニアリングを提供していく。
 シーエナジーの特徴は、電力、ガス、石油とエネルギー産業が顔を揃えていることで特定のエネルギー源に捕らわれないソリューション提供が可能であること。さらに、プラントエンジニアリング大手の日揮が加わっているため、小規模の分散型電源から大規模プラント向けのエネルギーサービスまで対象分野が幅広いことが挙げられる。ただ、新会社では、当面中部電力管内で事業を展開していく考えであり、地域の広がりという面では制約がある。

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IHI、利益第一の新3ヵ年計画を策定

 石川島播磨重工業は、平成13年度から平成15年度までの3ヵ年を見通す経営計画「経営方針(2001)」を策定した。「利益第一の経営に徹する」ことを経営基本方針の第一に上げており、事業構造の見直しなどにより計画を達成していく。部品工事・メンテナンス事業を拡大することなどによって受注の確保に努め、最終年度には単独ベースで8700億円の受注を目指す。
 基本方針は@利益第一の経営、A技術に立脚した複合的な事業集団、B顧客の満足・株主の信頼・従業員の働き甲斐が3本柱。
 この結果の目標値は、平成15年度には受注高8,700億円(連結11,600億円)、売上高8,700億円(同11,500億円)、経常利益250億円(同400億円)、投下資本利益率は5%(同5%)を達成する。年度末の有利子負債は3,000億円(同4,500億円)に圧縮していく。なお、年度末の予想人員は約1万人(同2万1,500人)。
 このうち、部品工事・メンテナンス事業を拡大することによって、連結ベース売上高を現在の2,900億円から3,700億円に規模を拡大する。このため、今年4月から営業本部を事務局として全社キャンペーンを展開していく。
 経営施策のなかで、「事業本部と関係会社の自立化の促進と事業構造の見直し」を促進することにも重点を置いている。
 各事業本部は、自立経営を一層促進して全部門で黒字化を達成する。また、各機種の市場に対応するために、事業ユニットの「選択と集中」を推進して、事業構造の見直しを図る。あわせて、間接部門のスリム化を図って固定費の削減に努めるとともに、より機能的な組織体制を確立する。
 具体的には経営資源を重点配分する事業分野として、@航空エンジン・宇宙、A分散電源(GT、MGT、燃料電池、風力発電など)、B環境・資源リサイクル(ガス化溶融炉、RDF、廃プラ・廃家電処理事業など)、C物流・ITS(自動倉庫、新都市交通設備、ITS物流・駐車場事業など)、D標準機械(車両用過給器、汎用圧縮機など)など5分野を上げている。
 また、分社化や他社との連携により事業構造を再構築する分野として@造船、A産業機械、Bエネルギー機器(ボイラ、原子力機器など)の3事業分野を上げている。

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千代田、ゴールドキャリア制度を発足

 千代田化工建設は、60歳以上のOBを対象に、人材派遣や個人事業主の形で臨時雇用する「ゴールドキャリア制度」を開始した。同社100%出資の人材派遣会社アローヒューマンリソースが千代田化工建設の退職者で働く意欲を持つ人材を登録し、個人の希望条件に合った仕事がある場合に紹介するというもので、現在登録作業を進めている。
 千代田化工建設は、この1〜2年間に進めてきた人員削減により、経験豊富なプロジェクトマネージャーやエンジニアが不足している。現在、LNGでは6件のFEEDを受注しており、このうちの幾つかはEPCも受注できるものと見込んでいるが、受注したプロジェクトを遂行していくために、経験者を確保しておく必要がある。
 「ゴールドキャリア制度」は、同社の受注が回復した際にOBを活用しつつ、OBの知識や技術の継承を図ることを目的としている。
 同制度で人材登録を進めている職種は、プロジェクトマネージャー、エンジニアリングマネージャー、現場アドミニストレータ―、スーパーバイザー、技術営業、エンジニアなど幅広い。
 60歳以上を対象としているため、年金の受給を受けているものも多く、受給を受けながら働く形態として、@個人事業主型で業務委託契約とする形と、A人材派遣型で雇用契約を結ぶ形の2つの契約形態を用意している。

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日商岩井、韓国プラント機器購買サイトに参画

 日商岩井は、韓国製プラント機器の買い付けサービスを提供している購買マーケットサイト「ハンス・B2B・ドットコム」の運営会社に資本参加した。
 価格競争が激化しつつあるプラント商談に対応するため、購買のIT化によるコスト削減、価格競争力のある韓国製プラント機器を組み合わせた「ハンス・B2B・ドットコム」を日系エンジニアリングおよび欧米のエンジニアリング会社などに紹介することでビジネスチャンスを作っていく考え。日商岩井は、同サイトの運営会社であるハンス・B2B・ドットコム社が実行する第三者割当増資に応じる形で75万ドルを出資した。
 ハンス社は、エンジニアリング会社に在籍していた調達の専門家とシステムエンジニアを抱えており、納期管理や検査業務などのサポートについて、きめ細かなフォローサービスとシステム運営を組み合わせている。
 将来的には、同サイトに与信機能や機器供給に絡む融資の手配などの機能も加え、さらには韓国製以外のプラント機器の品揃えも充実させていく予定。現在、同サイトには200社以上の韓国プラント機器メーカーが登録している。
 世界的にプラント機器のマッチングマーケットプレイスが設立されてきているが、その多くは一般的なマッチングの場を提供しているのみ。同サイトのように機器調達に関わるサポートサービスを備えたものはこれまでにあまり例がない。

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日揮、中央アジアでPEプラントを内定

 日揮は、トルクメニスタン国営会社が計画しているポリエチレン(PE)プラント建設プロジェクトを内定した。このほど、同国からL/Iを取得したもの。今年半ばから国際協力銀行の融資審査が行われる予定となっており、同行による融資が決まれば正式受注となる。日揮では、同プロジェクトの受注は2002年後半になるものと見ている。
 同プロジェクトは、トルクメニスタン国営ガス会社であるトルクメンガスが、同国北東部に位置する内陸ガス田近傍のガザチャク地区で計画しているもの。天然ガスを原料にエタン抽出による年産19万2,000トンのエチレンプラントを建設、さらにエチレンから年産20万トンのポリエチレン製造プラントを建設するエチレンコンプレックス計画。総投資額は約800億円。
 日揮はこのうち、ポリエチレンプラントの建設を手がけるものでプラント本体および付帯設備の設計、機器調達、建設まで一括で手がける。
 日揮は、1998年に同国トルクメンバシのポリプロピレンプラントを受注、今年夏にも完成・引渡しの予定となっており、この実績が高く評価され、今回のプロジェクトでもL/Iの取得に成功したものとしている。ただ、トルクメニスタン向けではファイナンスの調整に時間がかかるため、正式受注までには時間がかかる。
 なお、エチレンプラントは独リンデが同時にL/Iを取得している。

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川崎重工、中国最大級の大型肥料プラント受注

 川崎重工業は、中国海洋石油総公司(CNOOC:China National Oil Corporation) が海南島に建設する中国最大級のアンモニア・尿素製造の両プラントをKBR社(Kellogg Brown & Root) と共同で一括受注した。受注金額は約170億円。納期は2003年12月末。
 受注したのは海南島沖合いから産出する天然ガスを原料としてアンモニア1,500トン/日、そのアンモニアから尿素2,700トン/日を生産するプラント。アンモニアのプロセスはKBR法。尿素のプロセスはスタミカーボン(オランダ)/HFT(ベルギー)法。生産された尿素は中国内で農業用化学肥料の原料として使用される。
 同社とKBRが中国新疆に建設中のZEPU Petroleum Chemical社向けアンモニアプラントの円滑なプロジェクト遂行能力が評価されての受注。同社とKBRは、中国新疆以外にも肥料プラント分野では、ナイジェリア(88年)、イラン(96年)で一括受注の実績があり、今回の受注が4件目となる。また、肥料プラント以外でもチリでのメタノールプラント(88年)のほか、エチレンプラントの中国蘭州(88年)、ブルガリア(91年)、日本国内(91年、98年)での実績を合せると8件の受注実績となる。
 同社は、中国内では肥料プラントの需要が高まっており、プラント建設ニーズはさらに増加すると見ている。KBRとの協業実績をもとに、さらに協力体制を強化し、積極的な営業活動を展開していく方針だ。

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三井造船、タイ、メキシコから相次ぎプラント受注

 三井造船はタイとメキシコから相次いで化学・石化プラントを受注した。タイのサイアム三井PTA社から高純度テレフタル酸(PTA)の第2プラント建設工事をフルターンキーベースで受注。受注金額は約200億円。メキシコではペトロケミカ モレロス社(略称:PEMOSA)からポリプロピレン(PP)プラントをポリエチレン(PE)プラントへ改造する工事を約20億円で受注した。
 三井化学とセメンタイケミカル社の合弁会社「サイアム三井PTA」から受注したPTAプラントは、1999年にマプタプットで運転を開始した第1プラントの隣接地に建設される。生産能力は40万トン/年(第1プラントと合計で80万トン)。第1プラントと同様に三井化学が開発したPTAの製造技術。01年3月から現地工事を開始、01年1月の営業運転開始を目指している。
 なお、三井化学は、日本をはじめ、JV形式で韓国、インドネシア、タイを拠点としてアジア全域でPTA事業を展開している。
 メキシコ・ベラクルス近郊でのPPプラント改造工事の受注は三井物産の協力を得ている。91年に三井造船が納入したPPプラント(10万トン/年)をメキシコではより付加価値の高いPEプラント(10万トン/年)に改造するもの。プロセスは三井化学法。02年6月の完成を目指す。同社は今回の受注を機にメキシコや中南米、中東欧で化学会社が進めている既存プラントの改造工事受注を目指す。

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物産〜重工、ブラジル向けGT発電機を受注

 三井物産は、ブラジルの大手配電会社Light向けに三菱重工製ガスタービン発電機2基を受注した。付帯設備を含めて、受注額は約100億円。
 同プロジェクトは、Light社が進めているカビナウスIPP(独立発電事業者)発電プロジェクト向けのもの。総出力は500MWで、2003年に運転開始の予定。今回、物産が契約した2基のガスタービン発電機は、1基あたり出力が180MWのもの。
 ブラジルでは、1999年末の通貨切り下げ以後、順調に経済を発展させている。しかし、発電設備の96%以上が水力発電であり、環境問題からもこれ以上の水力の開発は限界がある。そのため、最近では天然ガス火力発電への指向性を強めている。
 ブラジル政府は、アルゼンチンやボリビアからの天然ガスパイプラインを敷設する一方、国内ガス田の開発も進めており、昨年には2003年の運転開始を目標とする49の優先プロジェクトが選定されている。今回のカビナウスIPPプロジェクトは、そのうちの一つであり、49案件のなかで最も具体化の確実性が高いもの。
 三井物産では、同プロジェクトにガスを供給するカビナウスガス分離プラントおよびパイプラインプロジェクト向けにファイナンスアレンジを行っており、IPPにも参加する予定。今後、同プロジェクトのコンバインド化にも資金面などで協力していく。

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三菱重工、土壌浄化事業を本格化

 三菱重工業は昨年、独自開発の揮発性有機化合物(VOC)汚染土壌浄化技術により土壌浄化事業に参入したが、このほど新たに米国のベンチャー企業テラクリーン社から油類およびPCB類汚染土壌の浄化技術を導入した。これにより、ニーズが多様化、高速化している土壌浄化事業を本格的に展開していく。
 今回、テラクリーンから導入した技術は、土壌中の重油・機械油・鉱物油等の油類およびPCB類を溶剤によって抽出分離し、使用後の溶剤を精製リサイクルするというもの。
 同技術は、汚染サイトに処理設備を搬入・敷設し、浄化処理を行う。油類汚染ではバイオ処理と同等のコストで高濃度汚染に対応でき、処理期間は数ヶ月と大幅に短縮。さらに、これまで処理が困難であったPCB類汚染土壌の浄化も可能であり、サイトの規模に関わらず幅広く対応できるというのが特徴。分離した油類は、焼却処分するが、PCBに関しては長崎造船所でPCB処理を行っている水熱分解法で分解する。これにより、PCBの分離から無害化まで一貫処理が可能となる。
 三菱重工業では、同技術の導入により、全国のガソリンスタンドや精油所、石油製品貯蔵所などの汚染土壌、各種工場などのPCB汚染土壌の浄化を調査・分析から処理、モニタリングまで一貫して手がけていく考え。

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