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注目の天然ガスプロジェクト

 広東省のLNG受入基地で外資パートナーの選定が大詰めを迎えている。中国初のLNG受入基地であり、テストケースでもある。しかし、今後中国の天然ガス導入は、LNGよりもパイプラインが主体となりそうだ。

広東LNGは最初で最後?

 広東省深 LNG受入基地の外資パートナー選定が大詰めを迎えている。ショートリストに残っていた丸紅〜大阪ガス〜Shell、日商岩井〜中部電力〜ExxonMobil、BPAmoco、韓国ガス公社〜CATACOの4グループのうち、優先権をBPAmocoが取得した。2番手は日商岩井〜中部電力〜ExxonMobil、以下丸紅〜大阪ガス〜Shell、韓国ガス公社〜CATCO(China Australia Terminal Corp)という順番だ。近く、最終的な結論が出されることになっているが、BPAmocoが選定されることになるだろう。
 同社が優先権を得られた背景には、まず第1にファイナンススキームの魅力があった。関係筋によると、BPAmocoが提示したファイナンスは金利が殆どゼロに近い水準だったという。そしてもう一つの要件は、昨年にCNPCがPetroChinaとして株式を公開した際に、BPAmocoが公開された株式の20%を取得し、同プロジェクトへの影響力を強めたことが指摘されている。
 株の上場とプロジェクトが連動するのは、これだけではない。先ごろ、KBRと川崎重工業が海南島の肥料プラントを受注した。当初、東洋エンジニアリング(TEC)〜丸紅が最安値で1番札を獲得していたのを逆転したのである。その背景として、CNOOCが2月にニューヨークで上場することと引き換えに米企業の選定ということで中国側に働きかけがあったという。
 それはともかくとして、プロジェクトの背景からみれば、広東LNGプロジェクトでBPAmocoが決まるのは時間の問題だが、最終決定は遅れている。朱鎔基首相の承認が得られていないためだという。
 中国で初めてのLNG輸入ターミナルとなる同プロジェクトは、一方ではLNG導入のテストケースとされている。これがうまくいけば、他の地域でもLNG受入基地を作っていくというのが中国の方針だった。しかし、朱鎔基首相は西部大開発を進めており、東部地域に関しては「安定」政策を取っている。LNG受入は全て東部地域が主体となるのに加え、「LNGは高い」と朱鎔基首相はあまり乗り気ではないらしい。
 現在、広東LNGのほか、上海を中心とした揚子江デルタ地域でのLNG受入基地建設構想、さらに福建省が地方政府レベルで100万〜200万トン程度の規模で計画を進めている。しかし、上海に関しては“西気東輸”パイプラインの末端にあり、ルート上でも最も大きな需要地だ。このパイプラインプロジェクトの影響により、LNG受入基地計画は影が薄くなっている。中国にとっては自国内の天然ガスを供給できる西気東輸パイプラインの方がプライオリティは高い。そうしたことから、上海LNGプロジェクトは実現しないのではないか、という見方も出始めている。
 広東LNGプロジェクトは中国にとって最初で最後の大規模LNGプロジェクトとなるかもしれない。ただ、福建省のように地方政府が主体で進めている中規模プロジェクトであれば、動く可能性も否定できない。

東西2本南北2つのラインを建設

 中国では、全エネルギー需要に占める天然ガスの割合が、1997年2.2%から2010年には6%に上がると予測されている。ボリュームとしては、97年の約200億m3から、2010年には960億m3、さらに2020年には2,030億m3へと飛躍的に増大する。
 この天然ガス需要の増加を、中国では国内ガス田の開発とロシアからのパイプライン輸入を中心に賄う考えだ。現在の中国の天然ガス確認埋蔵量は約3兆m3と巨大なものがある。しかも、さらに1000億m3の予想追加埋蔵量があるという。
 中国国内ガス田のなかでも、最も注目されているのがタリム盆地であり、そこから上海までパイプラインを敷設するというのが“西気東輸”プロジェクトだ。総延長4,200km、年間送ガス能力120億m3、総投資額は5,500億円を超える巨大プロジェクトだ。
 今年1月、パイプラインへの外資パートナー選定のため、資格審査を開始した。日本の大手商社6社をはじめ、世界のオイルメジャーなど有力企業が資格審査書類を提出している。4月ごろに予定されている事業権入札に向けて、各社ともコンソーシアムの形成に向けて動き出している。
 ここでも、気になるのはBPAmocoである。PetroChinaの株式を大量に保有する同社は、このパイプラインプロジェクトでも影響力を行使してくる可能性は高い。全ては4月以降、明らかになってきそうだ。
 そのほかのパイプラインプロジェクトとしては、四川省万県から湖北省枝江をつなぐ東西ライン。そして、東シベリア・イルクーツクから日照港、北京をつなぐ南北ライン。さらにサハリンTから大慶、瀋陽をつなぐもう一つの南北ラインの計画がある。東西2本、南北2本のパイプラインを敷設する計画なのである。中国の天然ガス戦略は、あくまでパイプラインを主体とし、LNGは補完的システムとして位置付けられている。欧米型のシステムを目指しているといえる。

派生プロジェクトに期待

 パイプラインそのものは、日本のエンジニアリング会社にとって、あまりうまみはない。しかしパイプラインシステムの全体像は4本のラインと4カ所の分配センター(北京、上海、信陽、武漢)、そして5カ所(大慶、北京、山東、上海、南陽)の地下タンク式貯蔵センターも含まれる。さらには、パイプライン沿線に沿って各地でガス化学産業や発電などの整備も計画されている。さらに、パイプラインが整備されると、ピークシェービング用の小規模LNGプラントという計画が出てくる可能性もある。
 “西部大開発”が進もうとしている中国に対し、欧米に比べて日本は出足が遅れている。「WTO加盟を待ってから」という声もあるが、既にプロジェクトは動き出そうとしている。
 天然ガス関連以外の動きとして注目されるのは、石炭だ。現在、内モンゴル自治区で500万t/yの石炭液化プラントが計画されているほか、国家計画委員会は石炭液化技術開で日本などとFSを行う方針。さらに石炭ガス化発電(IGCC)モデル発電所の計画もある。日本の技術が活かせる分野だけに期待がかかる。