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日立製作等3社が送変電分野で製造統合へ
新日鉄、国内ガス関連プロジェクトに注力
TEC、サウジ向けPEプラント受注
千代田化工、再建に向け減資を決議
IHI〜TEC、海外LNG受入基地で初実績
日揮、サウジで連続受注狙う

日立製作等3社が送変電分野で製造統合へ

 日立製作所、富士電機、明電舎の3社は、送変電、受変電、配電分野で包括的な提携に関して協議を進めることで合意した。
 提携内容は、開発、設計、製造、サービス面での広範囲な協力関係を築き、製品の統廃合および製造拠点の再編などを検討していくとともに、 今年7月をメドに開発、設計、製造を行う合弁会社の設立を目指すというもの。製造合弁まで踏み込んでいる点が注目される。
 日立製作所は、大容量クラスの機器を用いたフルターンキープロジェクトに強く、一方富士電機および明電舎は主に中小容量クラスの機器、 システムで強みを持つ。この3社が提携することで、中小容量から大容量のターンキープロジェクトまで、幅広く対応していけることになる。 また、開発、製造、サービスなど各社保有の技術や拠点の相互活用を行うと同時に、資材調達についても協力し、製品ラインアップの充実と、 多様化する顧客ニーズに対応したソリューションビジネスを強化していく考え。
 さらに、今年7月には3社共同で機器開発、設計、製造を行う合弁会社を設立し、競争力の強化を図るとともに新製品開発のスピードアップを実現していく。 新会社の名称や資本金規模など詳細に関しては未定だが、売上規模は年間約1,500億円。従業員規模は約2,000名と想定している。 また、海外市場に関しては、各社の製造拠点の相互活用や販売協力などによってABBなど世界の有力メーカーに対抗するためのエンジニアリング能力、 コスト競争力を確立していくとしている。
 送変電、受変電、配電の市場では、電力会社の設備投資抑制により、国内市場は縮小している。しかし、IPPの拡大やマイクロガスタービン 、燃料電池などの分散型電源への対応や、既存設備の更新に伴う省エネルギー型設備への転換など新たなニーズが出てきている。 また、海外市場は拡大しており、年間市場規模は約3兆5,000億円と見られている。しかし、世界の有力コントラクターのシェアが高く、 3社を合わせてもそのシェアは5%程度と低い。そのため3社は提携を進めることで、将来的に世界で10%のシェアを獲得していきたい考えだ。
 なお、今回の提携では営業権に関しては含まれていない。


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新日鉄、国内ガス関連プロジェクトに注力

 新日本製鉄エンジニアリング事業本部は、国内のガス関連プロジェクトに注力する。先ごろ、国内初のLNGプラントを受注したほか、 関西電力などが大阪・堺市で計画しているLNG受入基地では米KBRとの協力関係をベースに受注獲得を狙う考えだ。
 勇払のLNGプラントは、国内で初めて建設されるLNGプラントで事業主体は石油資源開発。能力は150t/dと極めて小さい規模だ。 新日鉄は受注額をあきらかにはしていないが、およそ40億円程度と見られる。プロセスは米APCIの窒素リサイクル法を採用する。 受注内容は、基本設計、詳細設計、調達、製作、据付、試験・検査、試運転および運転指導までを含むものでフルターンキーベースで受注した。 主な設備は原料ガス前処理設備、液化設備、LNG貯蔵・出荷設備、BOG処理設備など。今年から詳細設計に入り来年1月に着工、2003年9月に完成の予定。 これまで、新日鉄は国内電力会社およびガス会社向けに25件のLNG関連設備を受注した実績を持つが、液化プラントの実績はこれが初めて。 今回の実績により同社はLNG設備の上流から下流までのエンジニアリング技術を提供できる体制を構築した。
 同商談には神戸製鋼もPRICO法を提案していたが、PRICO法によるLNGプラント建設実績が少ないことや、 石油資源開発のプロジェクトを多く手掛けてきた実績などから新日鉄の受注が決まった。
 また、関西電力などが堺市で計画している新たなLNG受入基地は14万klのLNGタンク3基と受入桟橋などを建設するもの。 年間取り扱い能力は270万トン。投資額は1,000億円を超えるものと見られている。このプロジェクトでは、今年9月にコントラクター入札が行われる予定であり、 新日鉄もこれに参加する方針。同社は、LPGタンクおよびLPG受入基地の実績はあるが、LNGタンクを含む受入設備全体を手掛けたことはない。 そのため、国内のLNG受入設備で提携関係にある米KBRと共同で応札するものと見られている。この受注に成功すると、 新日鉄はLNGチェーンの全般にわたる実績を築くことになる。
 同社では、エネルギー事業のなかでも天然ガス関連分野を今後の主力と位置付けており、積極的に展開していく考えだ。


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TEC、サウジ向けPEプラント受注

 東洋エンジニアリング(TEC)は、三井物産と共同で、サウジアラビア向けにポリエチレンプラントを受注した。 受注額は明らかにしていないが、およそ200億円程度と見られている。
 同プロジェクトは、サウジアラビア基礎産業公社(SABIC)の子会社であるArabian Petrochemcal Company(PETROKEMIYA)が 同国東海岸のアルジュベール工業地区に計画している、年産40万トンのポリエチレンプラント。 TECは設計、機器資材の調達、および工事までを含めたターンキーで受注したもので、完成は2003年中頃。
 商談は、昨年11月に国際入札が行われ、TECのほかSnamprogtti、Kvaener、三菱重工業が参加していた。 TECは、昨年に完成したEO・EGプラント建設でのプロジェクト遂行実績や、昨年8月に受注し、 アルジュベール工業地区で建設を進めているNational Chemical Fertilizer(NCFC)向けアンモニアプラント能力増強プロジェクトを背景とした技術力、 信頼性、価格競争力が決め手となり、受注に成功したものとしている。
 TECでは、今回の受注を弾みとして、サウジアラビアのみならずイランやエジプトなど中東地域への営業展開に力を入れていく。
 なお、今回のPEプラントは、UCCのユニポール法で建設されるもの。 日本で同プロセスによるPEスイングプラントの実績を持っているのは三菱重工業とTECのみ。


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千代田化工、再建に向け減資を決議

 千代田化工建設は1月17日、臨時株主総会を開催、欠損金の補填を目的とした減資を決議した。 総額142億円の無償減資を実施することを正式に決議したことにより、同社再建への地固めができた。今月20日付けで減資の効力が発生する。
 焦点を絞った事業領域の見直しを進め、受注力を強化するなど「新再建計画」を進めている同社にとって、 財務リストラクチャリングも計画の成否を左右する重要なポイント。2000年3月末で420億円あった累積損失の処理にあてる減資も実現できる見通しになった。 資本金204億円を株式の額面超過分である80億円の減資を実施したうえで、2株を1株にする併合減資を行い新たな資本金は62億円となる。 この減資差益142億円と、法定準備金265億円の取り崩しが累損の解消にあてられる。
 この減資とあわせ同社は、東京三菱銀行、三菱商事などに総額262億円の債務免除を要請、同時に98億円の第三者割当増資を実施する計画だ。 これに加え再建期間中の運転資金も要請していく。
 KBRとの連携によるエチレンプラントの受注、 EPC受注も期待できるLNGプロジェクトのFEED受注が7件に達するなど再建計画が順調に滑り出した同社にとっては、今回の減資もシナリオ通り。 着実な第一歩を踏み出したことになる。


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IHI〜TEC、海外LNG受入基地で初実績

 インド・ペトロネットが計画している、ダヘジLNG受入基地のEPC入札が昨年11に実施され、 石川島播磨重工業(IHI)および東洋エンジニアリンググループ、オランダのバラスト・ネダム(BNI)の3社コンソーシアムが受注を決めた。 国内のLNGタンクで豊富な実績を持つIHIだが、海外向けの実績はこれが初めてとなる。
 ダヘジLNG受入基地は、インドの石油精製会社2社(IOCL、BPC)、石油・ガス開発公社(ONGC)、 ガス販売担当公社(GAIL)の4つの国企業が中心になって設立したペトロネットLNGが進めている。 ボンベイの北方300kmに位置するグジャラート州ダヘジに年間取り扱い能力500万トンの規模で建設されるもので、 地上式14万8,000klタンク2基などから構成されるLNG受入設備一式をフルターンキーで受注した。受注額は約400億円で納期は2004年6月の予定。
 TECは、インドの現地法人トーヨーインディア(TEIL)とともにコンソーシアムに加わっている。 TEILはペトロネットLNGに出資しているIOCLからFSを始めとして様々な仕事を受注しており、 これらの実績とIHIのLNGタンクの実績などが評価されたものとしている。
 商談は、再三入札が延期された後、昨年11月15日に入札実施、IHI〜TECグループのほか日本からは日揮〜KBRグループも参加していた。 なお、インドではペトロネットがコチンに250万t/y規模の基地を計画しているなど、複数の計画があり今後も両社は共同で受注活動を展開していく考え。


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日揮、サウジで連続受注狙う

 日揮は昨年末にサウジアラビア国営石油会社(サウジアラムコ)からHaradhガス田向けガス処理プラントを受注。アラムコ向けで7件目の実績を築いた。 今後もジュベール地区で計画されているQatif油田向けガス精製設備の計画もあることから、連続受注を狙っていく考えだ。
 Haradhのガス処理プラントは、1,600mmscfdの処理能力を持つ。日揮は同社の現地法人JGCアラビアとの共同で受注したもので、 納期は2003年第4四半期。プロジェクトはプロセス部門とユーティリティ部門の2つに分けられて入札が行われた。 日揮が受注したのはそのうちプロセス部門であり、スラグキャッチャー、水分除去、硫黄除去を通じて、発電用燃料および化学原料として払い出すための設備。 受注額はおよそ500億円程度と見られる。
 商談では同社のほかTecnip、ABBlummus、KBRが参加していた。一方ユーティリティ部門でも日揮、Tecnip、ABBlummus、KBRなどが参加していたが、 Tecnipが受注している。日揮がプロセス部門を担当し、Technipがユーティリティ部門を担当するフォーメーションは、 現在建設が進められているHawiyaガス処理プラントと同じ。そのため、両社ともアドミや現地工事などを共有化できる。 また、今年中にもQatifガス処理プラントが入札になるため、コストダウン効果を生かして連続受注していきたい考え。
 サウジアラビアではガス需要が急増しているため、アラムコはガス生産供給体制の強化を進めている。
 日立製作所、富士電機、明電舎の3社は、送変電、受変電、配電分野で包括的な提携に関して協議を進めることで合意した。
 提携内容は、開発、設計、製造、サービス面での広範囲な協力関係を築き、製品の統廃合および製造拠点の再編などを検討していくとともに、
今年7月をメドに開発、設計、製造を行う合弁会社の設立を目指すというもの。製造合弁まで踏み込んでいる点が注目される。

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