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エンジニアリング・建設産業のIT利用

 建設業界でインターネット利用が加速している。
 資材の調達、電子取引市場の開設、さらには現場施工へのインターネット利用など。最近では、建設大手5社がNTTデータや日本オラクルと共同で建設資材の電子商取引市場を設立する、清水建設は現場単位の備品をネットワークで効率的に調達を行なう、鹿島がインターネットを駆使した下請け業者との取引網構築するなど多様な展開を進めているようだ。
 ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)ももう一つの流れだ。ASP事業を視野に入れているゼネコンもある。前田建設工業は中小建設会社向けに工事のスケジュール管理などのソフトを期間貸しする。
 現場施工でのASP利用も始まった。建設業向け物流サービス会社のパワーズサービスは建設現場での作業情報の共有化支援サービスを開始。ASPを利用した現場施工を行い、工期短縮、コスト削減を狙っているのは大林組。LNGタンク建設工事の進行状況など現場施工を情報化して進めているが、工程管理ではASPサービスを利用している。
 しかし、この分野では米国の建設産業が先行している。ソフト会社も対応製品開発に積極的だ。ようやく日本の建設業界も米国企業に遅れをとるまいとIT利用に真剣に取り組み始めた。生き残りをかける日本の建設業にもITは欠かせないツールとなっている。
 一方、EPCプロジェクトを手掛けるエンジニアリング会社は、国際的な競争にさらされている。そこにおけるIT利用はプロジェクトの進行に欠かせない。米国では東南アジア、東欧などを対象にグローバルにワークシェアリングすることで国際競争力を高めようとしている。
 わが国でも「プラントIT」への対応を熱心に進めているところもある。千代田化工の「i-PLANT21」もその一例だ。情報の電子化を図り、統合化していく試み。実際に大型のLNGプロジェクトなどで活用されている。インテグレーション能力で一歩先んじている日本のエンジニアリング会社に欠かせないツールだ。
 しかし、オープン化が加速される中で個々の企業対応では解決できない問題もある。日本のエンジニアリング会社の国際競争力を高めるためにも、業界が一体となった開発努力が必要だろう。