東洋エンジニアリング(TEC)と三井物産は、バングラデシュのバングラデシュ化学工業公社(BCIC)との間でリン酸系肥料(DAP:リン酸二アンモニウム)プラント建設で合意し、契約調印を行った。同プラントはBCIC傘下のチッタゴン尿素肥料工場(CUFL、チッタゴン市)内に建設するもので、日産800トンのDAPプラントのほか、スチーム発電設備、アンモニア貯蔵タンクなどが含まれる。契約内容はプロセスライセンス供与、設計、機器調達、工事を含むターンキーランプサム契約で受注金額は約83億円、完成予定は2003年夏となっている。
バングラデシュは食糧自給達成を最重点政治目標に掲げ、年5%程度の成長を続けており、リン酸系肥料の需要も年々高まっている。同国政府は今回、TEC〜三井物産連合以外に中国企業にも同規模のDAPプラント発注を内定、同国初のDAPプラントの建設によって旺盛なリン酸系肥料の需要増大に対応する。また現在、大部分を輸入に頼っているリン酸系肥料を自国で産出する天然ガスを原料に生産することで貴重な外貨の節減につなげる。DAPの原料となるアンモニアはCUFLの既設プラントの能力増強によって賄う方針で、同プロジェクトもTEC〜三井物産両社の受注が有力視されており、今回のDAPプロジェクトの契約調印によってアンモニア能力増強計画の進行にも拍車がかかると見られる。
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