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12年度IPP、実施は望み薄
新規計画電源着工も遅延気味



 国内各電力会社が平成12年度に募集する卸電力入札で、12年度は入札が行われない公算が濃厚となってきた。これを受け、各社が纏めている同年度の供給計画にも入札は盛り込まれない見通しだ。
 入札制度延期の理由は、@同年度の発電需要が低迷気味、A電力会社の設備投資抑制傾向とそれに伴う一部電源の休止、B自由化を受け、一部顧客が離れる可能性がある―など。電力需給バランス調整のため、関西電力のように、新規案件の着工を先送りする電力会社も現われた。
 各電力会社別の主な入札先送りの理由は次の通り。▽北海道電力=計画中の泊3号原子力を優先し、火力入札はとりあえず見送る、▽東北電力=概決定分火力と平成18年度で広域調整融通分の返却で対応、▽北陸電力=平成21年度まで入札は行わない、▽東京・九州電力=電力需要の傾向を見てから対応する、▽関西・四国・中部電力=とりあえず予定はない、▽中国電力=島根原子力を最優先。
 また、東電は99年度入札で落札した住友金属工業、太平洋セメント、トーメン、日立製作所、日立造船の5社にこのほど電力購入の先送りを要請し、5社はそれを了承した。さらに横浜5号、鹿島3・4号、横須賀5・6号の長期運転停止も決定している。全国的な電力需要低迷が続くなか、全火力入札制度も入札が行われるかどうかは疑問だ。